下城NYニュース、05-'22(カナダのスーパー)
今回はカナダからお送りします。
カナダでは滞在中のワクチン証明提示やマスク着用ルールは緩和されてました。
シニア施設や病院など、あとは屋内の状況によってマスクを推奨する、というルールになってました。
しかし実際に私がトロント周辺で入ったスーパーのお客(+スタッフ)の80〜90%程度がマスク着用で、これは住民自身が状況を考慮して判断して、皆さんが自分自身を守っている証拠だと感じました。 私は他人の目ってのも多少気になりましたが、カナダの人達は他人ではなく、国民性がここに出ている様に思います。
日本でもしこのルールだったら、ほとんどの人はマスクしたくないのではと思いますが、アメリカもカナダもオミクロン変異株の数値自体はハッキリと上昇してる(ただし重症化は少ない)状態です。
「カナダのスーパーって、アメリカのマーケットと違うんだろうか?」
はい、そうなんです、
やはりすぐ隣にある小売り業がアグレッシブな大国アメリカ(ニューヨーク)を、そしてヨーロッパ諸国でやっている事をよく見てる様に思います。
業界全体の遅れを取り戻す為にも、非常によく研究して努力してます。
例えば、今回のこの企業はアメリカ南部で展開するパブリックスの好調を目の当たりに見て、その中から自社でも使えるアイデアを採用している、などとメディアに語っています。
パブリックスのアイデアを取り入れた、そうですパブリックスは業界トップクラスの素晴らしいスーパーですから、でも、どのアイデアを取り入れたのでしょう。 聞いてきました、この目で見てきました。 雑誌ニューズウィークが選ぶ2022年のベストスーパーマーケットのトップ3に入ってます。
また例えば、今回の店舗の様にドイツのデザインアイデアを使って、売り場構成をフレキシブルにアジャスト出来るフレックスの店舗を開店させたのです。
ヨーロッパでのフレックスのアイデアは、この数年、概して小型の食品店が多いあちらの国々で使われているデザインなんだそう。
『費用と工事期間を無駄にする事なく、店内の改装、売り場のアジャスト調整が可能』になるコンセプトなのです。 費用を掛けずに、素早く店の模様替えや売り場の調整が出来ます。
これも見て確かめてきました。
カナダも広いので、その中から今回はニューヨークから国境を渡っただけ、飛べばニューヨーク市からトロントは1時間半と隣町気分のトロント周辺のお話しをします。
カナダの地図を見た事ありますか?
下の方の白い部分は我らがアメリカで、その白い部分の右下にニューヨーク市、ナイアガラ、左の下の方にシアトルと書いてあるのはアメリカ側の都市です。
ナイアガラ周辺に見える湖を五大湖といいますね。
カナダで有名な都市は、
右の方(東海岸側)で水色のモントリオールやケベック、その下の薄茶色で見難いけどトロント、
左の方(西海岸側)の青い部分にはバンクーバー、ビクトリア、
その右隣の薄茶色、下の方に見えるカルガリー等だと思います。
左上の白い三角になったところはアメリカのアラスカ州の一部、右上はグリーンランドです。
実はカナダ中央部分の大自然の中に素晴らしいところやオーロラで有名なところもあります。
すみませんが今日はニューヨーク州からナイアガラの滝で国境の川を渡った辺りのトロント市と郊外周辺のスーパーの話しを致します。
アメリカで一番大きなスーパーマーケットチェーンはラブローズと言い、企業サイズも店舗2400店舗以上とこちらはダントツで大きいです。
スーパーマーケットといっても扱い商品が広く、GMSに近い業態です。
二位は最初の写真のソーベイズで、傘下のチェーンを入れるとカナダ全土に1500店以上の展開だそうです。
ソーベイズのこの新コンセプトは、店頭入口にカート専用のサニタイザー(消毒機)や店舗内にエコバッグを消毒する機械を置くなど、素早くコロナ対応をする事にも熱心です。
カートはアメリカ同様で大小二種類あって、この消毒機は両方に対応しています。
アメリカ生活で実感するのは、選べるこの2種類のカートが非常に便利だと思います。
カートの消毒は、お客自身がこれから使うカートをその消毒機に入れると、通過している間に機械の上部と横から微細な薬液が噴霧され反対側からカートを抜き出すまで噴霧されます。
手動で押すという事ですが、普通の人は入れて反対側から出すまで約10秒ほどでしょうか、消毒済みのカートは出てきた時にうっすら濡れていますが悪い感じではなく、数秒のうちに乾く速乾性の様です。
この消毒機はご覧の通り小型で簡単に素早く使えるし、噴霧が目に見えてインパクトある為多くの人が使ってます。
『高価な機械とは思えないので非常に良い差別化に』なるので導入しない手はないです。
これはコロナだけではない、毎冬のインフルエンザの時期に活躍するはず。
お客にこの店は「消毒ジェルの設置だけではない」それ以上に安全意識が高いと気付かせ、その安全意識が高い店で買い物をする消費者である事を感じさせるべきだと思います。
また店内にはエコバッグの消毒機と並んで手を消毒するサニタイザーが用意されています。
エコバッグの消毒もやってみましたが、4か所ある差込みの何処かにバッグ全体を差し入れてドアを閉めてスタートさせ、30秒で完了です。 これは終了した時に乾いてました。
これらを使って全部消毒したら相当レベルの高いコロナ対策の様に思います。
またソーベイズの店舗によってはスマートカートを導入しています。
取材したフレキシブル店ではスマートカートは使われていませんでした。
これはニューヨーク市内でも使われているし、全米ネットのデリバリー代行企業のインスタカート社も、エリア限定で配送スタッフ用にこれを使用しています。
Caperってこのスマートカートを作っている企業はニューヨーク市にあるのですが、彼らの長けたところはカート作りだけではなくてデータ収集の方なのです。 このカートを使って「お客は支払いの列に並ばなく買い物が出来る」、しかし同時に店側では沢山の情報収集と管理などが出来る様になるのです。
カナダではまだAmazonフレッシュやGOなどが来ていませんが、時間の問題で進出してくるのでしょう。 Caperカートはアマゾンダッシュカートの様に高性能ではない様です。
このソーベイズでもう一つ他国でやっていて今回書きたかったフレキシブルが、トロント郊外の店で見られました。
これはアメリカを含む北米では初の試みです。
スーパーを設計する場合には、どこに何の売り場を作って、お客をどう移動させるか、そこにどんな棚や什器を置くかと考えて設計し、必要に応じて電気・ガス・水道・排水等を配します。
それは所在する市の建築課に申請してその通りに工事をしている事を検査で確認されます。 従って、申請していない場所に電気のコンセントは付けられないという仕組みです。
それをフレキシブルにすると、夏は冷たいサラダやサンドイッチ、冬は熱いピザを売るとなれば、冷蔵ケースからホットスタンドに什器を変える事になる。
また今まで常温の商品で電気は不要だった位置に、冷蔵ショーケースを入れるなら、そこに無かった配線が必要になる。
それを写真で見るとこんな事になります。
チーズ売り場の前につまみのスナックだけでなく、サラミやチーズをセットにしてボードに載せた商品を売る為には、キャスター付きの冷蔵ケースを置き通電が必要になりました。 ここでは電気は天井から柱を下ろしてその中を通してコンセントを作りました。
他の棚やディスプレイが来ると、そこに追加の接続口が付いたとしても気にならない。
売り場の改修は工事と予算が伴います、時として大きくなり、それが理由で躊躇します。
でもフレキシブルを使えば、売り場のここを
「試しにこうしてみよう」
という事も簡単に可能になる、現状維持ではなく、チャンレンジが可能になるのです。
何も無い平台があった売り場の一角でスープを売る事にします、キャスター付きのスープ台を置き、電気はここでも天井から柱を下ろしました。
何も無いところにホットピザの販売ケースとロッティセリーを並べて、その電源は天井からの柱です。
フレキシブルに売り場構成を変えますが、一晩の工事で十分出来ます。(変更申請も不要)
季節によって売れ筋が変わる、何かの事情でレイバー状況が変わる、これなら人員配置も思いのままです。
惣菜売り場ではコールドで売りたい商品か、ホットにしたいか、キャスター付きの什器なので変更やアジャストがフレキシブルに出来ます。
壁面に面した側は各位置に電気水道があり自由に取り出せますが、フレキシブルにしたい場合はキャスター付きの什器を設置しておきます。
このヨーロッパ発で北米で初というフレキシブルの最大のメリットは、今回のコロナの様に予想外のマーケットや買い物志向の変化への対応と共に、現行店舗や居抜き店舗を改装する場合の建築工事申請を簡素化し、工事期間と相対的な費用を節約出来る事です。
このソーベイズでは環境に配慮した縦型の店内ファーミングが行われ、インファームとの提携でユニットが入っていました。
種から収穫までをこのユニットで行え、化学薬品の農薬を使わず収穫までの水の使用量は通常栽培のたったの5%で済むそうです。
インファームのスタッフと話したら、担当の彼は週に二度の訪問で全てをケアーし入れ替えて出来上がった商品を売り場に並べるそう。
365日イヤーラウンドで収穫しているわけで、店舗スタッフもその収穫出来るものの品出しを毎朝してくれる契約で、多くのソーベイ店舗で採用されているそうです。
所変われば品変わる、とは言え商品自体より売り方やパッケージングが面白いです。
アメリカで売られるバターは、1本が1/4ポンドという棒状になっていて、それが2本か4本一箱に入っています。 多分日本も同じ。
カナダではそれもありますが、1ポンドの塊が多く並んでいます。
牛乳はアメリカでは変な単位ですがガロン(=約3.8L)で、その半分サイズや1/4サイズなど、感覚として2Lとか1Lとかで、紙パックかプラスチックの容器入りです。
カナダでは一番大きな牛乳は4L入りで、ビニール袋に入って売られていて、注ぎが楽な瓶の形やプラスチックジャグ(持ち手付き)等はありません。
カナダのドル表示ですが、現在CN$1は約100円で分かりやすいです。
ガソリンは1L当たり200円、日本よりも高いのでこの大きな国では超苦しいです。
面白い発見はまだまだあります。
その他の売り場をお見せします。
ワインとビールを中心にしたリカーコーナーで、ビールとワインのクーラーも置かれています。
書くスペースが無いですが、このオンタリオ地区からケベック地区にかけてはメトロも沢山の店舗があります。
カナダでもアメリカ同様、ほとんどのスーパー店頭で夕方以降の生鮮食品の値引き販売をしていません。
その代わりに、こういうアプリ「例えば Flash Food」などを使ってアプリからその登録店に入ると、その時の割引商品をアプリで購入出来ます。 買いたい店と商品をアプリで選んで、クレジットカードで払って置いて店に引き取りに行きます。
こんな専用冷蔵庫が用意されていて並ばずに引き取り出来ます。
食品ロスは各店舗じゃなくてチェーン単位で無くしていくという考えで、同時に店舗の利益も確保するという事です。
多くの商品は賞味期限がその日か数日以内で、50%引きは当たり前、同日内だと75%引きなどもあります。 カナダ発のアプリシステムで、アメリカにもこれは入ってきています。
今回ここではソーベイズを中心にカナダのスーパーを書きましたが、実はまだまだ書ききれない事があり、引続きカナダ情報も書いて行きたく考えております。
現在6月のグルメフードショーとその時の視察チームを募集しています。
現在参加者のレジスター登録を受け付けているところです、詳細はお問い合わせ下さい。
勿論フードショーに拘らない、ニューヨーク周辺の最新小売業状況の視察も準備しています。
By Charlie Chikao Shimojo @NPPA
チャーリー下城NYC■ 05/20/2022
https://ny-news.amebaownd.com/
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