下城NYニュース、04-'22(総合小売業=GMS)

ニューヨークの中心街で開店したターゲットの事をブログ「ニューヨークは今」に書きましたが、

アメリカ生活を快適に過ごす為に非常に重要で、役に立つ使い方が出来るこの小売業の業態について書いていきます。


総合小売業は『General Merchandise Store』 の頭文字を略してG.M.S.といいますが、

アメリカでも呼び方は色々で、業界の中ではハイパーマーケット(超越した)と呼ぶし、

これをスーパーセンターと呼び、ウォルマートなどでは通常店とは分けているチェーンもあります。

我々は通常ディスカウンターとかビッグボックスストアなど、広い意味で大きなお店と表現している様です。 

業界最大手はウォルマートで、店舗数は4700店舗以上もあり、売上げでもダントツです。

会員制ウエアハウスクラブのコストコと競合するサムズ・クラブはウォルマートのブランドです。

ウォルマートは世界一の小売業チェーンでもあります。

ウォルマートはこんな感じです、といえば、「ああアメリカの視察で立ち寄った」という方も多いと思います。

2万平米以上の巨大な売り場も多く、その分お客数も多いしごみごみしてる場合も多いはず。

巨大なスーパーセンターの他に、先に挙げた会員制ホールセールクラブあり、生鮮食品を扱わないディスカウンターあり、スーパーマーケットサイズに競合するネイバーフット・マーケット等があります。

実験店もあり、ハイテクが如何に小売業と消費者の役に立つかを検証するIRL(インテリジェンス・ラボ)店もあります。

店内に沢山のカメラと情報処理用のコンピューター設備が付き、amazonフレッシュ店の先駆けをやっていた事かもしれません。

業界2位はターゲットで、商圏は一部重なりますがやってる事が少々違うので客層にも違いがあります。

ターゲットは今月タイムズスクエアで開店したフレックス店の事を数日前に書きました。

でも郊外店や地方の店が巨大なスーパー・ターゲットタイプがあり、そこでは生活に関わるもの全てが売られている事は変わりありません。

通常型のターゲットの多くに「Pフレッシュ」と呼ぶ生鮮食品コーナーを付けていて、ウォルマートとの差別化となっています。

アプリを使ったデリバリーや店頭ピックアップは勿論、店内の買い物でも事前に買い物リストをアプリに入れておけば、その商品の売り場のマップがアプリで見られます。

3位は以前はKマートと言ったものですが、(倒産した)シアーズと合併して一時は2位になったのですが今はもう見る影もありません。

確か残っているのは3店舗、ニューヨーク州、ニュージャージー州だけの様です。

Kマートには何度も行ってはいるのですが、最後にいつ行ったかどの店に行ったかも記憶に無いくらいです。 でも倒産したシアーズの親会社は倒産時点で所有物件の多さから資金には余裕がありKマートを傘下に入れ復活を目論んだものの、共倒れになりました。

扱い品目が違う二社ですが、共に競合に負けたという事ですね。


住環境や買い物動向が全米の中でも特殊なこのニューヨーク市内マンハッタンですが、実はこの中に3カ所のKマートがあり一部の人には有難い店であったようです。

扱い品目は日用雑貨品や生活必需品なのですが、GMSは基本が家族向けでパッケージングも大きいし売り方も大雑把、おしゃれなど気にせずに大量消費を優先させた品揃えです。

という事で地方や郊外で好まれる店をKマートはそのままマンハッタンに持ってきて、結果的には全店閉店となりました。 街中に出店する為の作戦があればまた別ですが、あのままでは顧客のワンツには合わなかったという事です。

そんな店舗開発をやってるくらいだから潰れるんだと悪口も言われてましたが、まさにその通りって事でした。

時は移り変わり、全米で2500店舗あったKマートが3店舗になってしまい、ニューヨーク市からも撤退したダウンタウンのその場所には、全米のスーパーマーケット業界で最高評価の一つであるウェグマンズが来年オープンします。

ウェグマンズはニューヨーク市内のブルックリン地区に小型店を出していますが中心部マンハッタンへの出店はこれが初めてとなり、その地域最大で最高の総合スーパーマーケットになるはずです。

ニューヨーク市民生活にとっても待ち望まれているもので、その業界にとっても大きな変化のきっかけになるはずです。

少々寄り道しましたが、取り敢えず現在3位はコールズですが買収交渉が進んでいてこの3位以下は少々混乱しそうです。

数社がコールズの買い取りに積極的で、その一つはコロナも理由の一つで倒産した百貨店チェーンのJCペニーを買った親会社で資金は潤沢です。 

Kマートには魅力もメリットも見えなかったのに比べてコールズは魅力も可能性も満載です。

このコールズは全米で展開しているGMSではありますが、扱い商品の中心は日用雑貨品と衣料品やアクセサリー等が中心になっていて競合他社が扱う食品はほとんどありません。


むしろ自社で得意ではない商品で競合する事を避けているという事でしょう。

その代わりアパレル系では確実に上位二社の上を行き、化粧品では全米大手有名化粧品ブランドで日本にも行ってすぐ撤退したセフォラを入店させています。

覚えてますか表参道に出店して、ブランド志向が強い当時の日本では見向きもされず半年ほどで閉店したと記憶します。 

日本人の旅行客がアメリカで大いに土産物として買い物する事(お土産文化)の延長で、日本でも同様にバンバン売れると考えて進出するとえらい目に遭う、

その勘違いの為にえらい目に逢ってしまったのがセフォラですが、

コールズには化粧品でセフォラが入り、

生鮮を含む食品はボックスストアチェーンのアルディとパートナーを組んでいます。

アルディでは生鮮食品のサービスカウンターは無くストア管理上も簡単な事がポイントです。

この考え方は非常に賢く、大型小売業の基本という事も言えます。


事実、多くのGMSのスーパーセンターと呼ばれる大型店内にはメガネ屋さん、ネイルサロン、ドライクリーニング、銀行、ファーストフード店などが入るし、地方のスーパーも同様で、スポーツ洋品店やディスカウントの靴屋さんがテナントとして入店しています。

ターゲットの中には全米大手ドラッグチェーンのCVSが入店しています。

全米チェーンでは上記3チェーンが上がりますが、この業界はローカル(狭い地元)やリージョナル(広い地元)などの独自のチェーンが各地にあります。

通常のスーパーマーケットでは3〜4万品目の商品を扱い、大型のウェグマンズなどでは7万品目を越え、ハイパーマーケットでは時には15万品目となります。

この場合、アメリカの生活必需品である自動車関連(オートセンター)、日曜大工や家の修理(DIY)、園芸コーナー・ガーデンセンターなども入ります。

今でも銃やライフルの様な武器、銃弾なども売られます。

ちょうど最近のブログで、GMSチェーンのリージョナル展開の良い例となるミシガン州のマイヤーを取り上げています。

広い意味での地元で展開なので、ミシガン州を中心にシカゴやオハイオ州など中西部の6-7州で250店舗以上の展開です。 地元外の私から見てもウォルマートより買い物しやすい店です。

大型店では30台くらいのレジが並んでいる場合があります。

ブログに載せたこのページは、今月発表された全米スーパーマーケット店の最優秀店長にマイヤーの店舗ディレクター(おそらくスーパーバイザー)が全米一として表彰されたニュースです。


又、マイヤーは今回ターゲットの小型店フレックスに類似ですが、GMSの小型店ではなくてスーパーマーケットとしての街中型小型店を出しています。

地元をよく見据えている企業なのでこのエリアで求められているものを理解して、業態を選んでいる事と理解します。

地元ミシガン州の中でも自動車産業で栄えたデトロイトのダウンタウンで「リバータウン・マーケット」というスモールフォーマット店舗です。

スモールフォーマット⇨ https://ny-news.amebaownd.com/posts/24338397


マイヤーはこのスーパーマーケット型小型店を既に各地に4店舗、まだ次なる店舗を着工しています。 

リバータウン・マーケット後方の丸いビルは、オートメーカーGMの本社ビルです。

状況は違っても、各企業にはこういうフレキブルさがなければいけないと思います。

同じ形でチェーン展開する場合のメリットとリスクそして限界と、フレキシブルを加えた場合の大きなメリットを考えたほうが良いです。


又4月初旬に長く工事に時間が掛かって開店したターゲットのフレックス店(スモールフォーマット)を書いてあります。

GMSという、通常我々が郊外や地方都市の移動中に目にする大型の店舗は、ニューヨークの様な住環境でも必要なのでしょうか?

日本の10大都市の都市部にも共通する事とは思いますが、比較的小家族だし独身者も多いかも知れません。 収納スペースも限定で、通常アメリカ生活で我々が購入する大きなパックやまとめ買いの様な買い方はしたくても出来ないというのが正確なところなのかも知れません。

店内をよく見ましたが、小さなパックで欲しいものがきちんと揃う、ニューヨーク生活に合わせた商品構成になっていると感じました。 実はニューヨークではコンビニ店はごく少なく、その扱い品目の多くはドラッグストアで扱われています。 コロナ前は多くのドラッグストアが早朝から夜中までのコンビニ事件の営業か24時間営業でした。

でもコンビニの価格は安くなく、まとめ買いは非常にしにくいものです。

そこをクリア出来るのがターゲットのこのスモールフォーマットです。

開店は4月03日で『写真撮った時はまだ「Now Open」』の状態でした。

ぜひこういう最新情報をゲットしにいらして下さい!

GMSとスーパーマーケットの大きな違いがここアメリカでは顕著で、GMSというのは日用雑貨品が中心でウォルマートなどでも食品はほとんど扱わない店もある、それらの買い物は間違いなくしやすいし揃えが良い。 

スーパーマーケットでは食品は必須でその充実度や品質がその店のレベルを大きく左右します。 

という事は、日本のスーパーマーケットの代表であるイオンやイトーヨーカドーはアメリカでいうGMSに近いものなのです。

スーパーマーケットが大型になってくるとGMSに近付くものがありますが、むしろ外食産業に近くなるのがアメリカのスーパーです。

順番不同ですが、やはりまとめ買いの紙製品も見かけるし、スナック菓子ドリンクも揃いビールも扱っています。 有難いのはコンビニに比べてパックも大きいしそれでも価格は安いのです。

自動車社会のアメリカにおいても、ニューヨーク市内中心部ほか幾つかの都市に徒歩で生活する事が出来る街があります。 街歩きは徒歩が便利だし、地下鉄とバスなど非常に完備していて安い。

ターゲットの街中店も近くのスーパーへも、買い物はみなさん徒歩で出掛けるのです。

 ニューヨークの街中は日本の都市部との共通点が多く、

このターゲットに加えて、建物もデザインも素晴らしい最新のトレーダージョーズ、郊外に開店するAmazonフレッシュやAmazonGOの新システムを是非体験下さい。

手のひら認証システムのAmazonワンもニューヨークで見られます。


忘れない様に書いておきますが、GMSでは私がアメリカに来た約40年前にはウールワースが世界最大4000店舗以上のチェーンで、全米どこにいってもこれがありました。

世界最大が出来るのもそれが潰れるのも大国アメリカの宿命なのでしょう。


現在6月のグルメフードショーとその時の視察チームを募集しています。

現在参加者のレジスター登録を受け付けているところです、詳細はお問い合わせ下さい。


By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城


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