下城NYニュース 1-'20

下城NY・ニュース、2020年1月

新年のご挨拶が遅れてしまいましたが、本年も相変わらずよろしくお願い申し上げます。


日本もニューヨークも風邪が流行っておりますが、皆様にお変わりはありませんか?

今年の初日の出は朝7時20分で、いい具合にうす曇だから大丈夫かと思いきや、ちょうど太陽があがったところに帯状の厚い雲がどっかりとしてこんな感じにしか見えませんでした。

2019年、2020年のニューヨークは小売業界で大きな変化がありました。

先のニュースでお知らせした当地発で世界的に有名なスチュー・レオナードの最新店やドイツ発のボックスストアチェーンのニューヨーク市内店開店、それに続いて既に7~8店舗の郊外店も開店し小売のあり方が変わってきました。

そして、2019年秋にはウェグマンズ初のニューヨーク市内店の開店がありました。

ニューヨーク市内ブルックリンの、元海軍施設であったネイビーヤードという広大な敷地の一角です。 

ウェグマンズとしては珍しい街中型で、ビルの一階にテナントとして入る店舗です。

本拠地のロチェスターやボストンにも街中型がありますが、ここニューヨークは全く考え方が違いウェグマンズとしても相当の調査と研究をしての出店となりました。

実はウェグマンズは更にこの春に、ニューヨーク市の北郊の高級住宅地とビジネス街がある地域に大型店の開店を控えていて、ますますニューヨークの食品小売事情が興味深くなってきています。

2019年後半の視察アレンジでは、アメリカの各小売業が使っているアプリやリワードに関する状況を含んだ視察のリクエストが多く入りました。 これは、日本の税制改革が10月にあった事が影響していると考えています。

2019年11月~12月の日本出張では、大分県にお邪魔しました。

大分県大分市には地元のビジネスマンが集まる「豊の国商人塾」があり、沢山の会員の皆さんが協力し合い世界に目を向けて勉強会を開いており、地元と九州を大いに盛り上げています。

その塾頭をされているのが私の友人でもある東洋大学国際観光学部の佐々木茂教授です。

地元大分市の方だけでなく、県内の海産物や和菓子などの老舗食品関連のビジネスマンや、幾多のチェーン店を束ねる方など、あらゆるビジネスの方々がお集まりになり、そこで講演と情報交換をさせて頂きました。

私と共に講演された丸亀市の古川氏が先頭になって市の活性化を推進、そのやり方が大変ユニークで日本中の多くの街が学ぶべき大変良いお話を聞かせて頂きました。

東洋大学は妻の母校でもある関係で、東洋大学でもお話しをさせて頂きました。

本年は地方のこういうイベントにも積極的に参加させて頂きたく考えております。

そして2020年を迎え、今週は全米最大の小売業のイベントがニューヨークであり、ハイテクを使った小売りの手法やプログラム・ソフト、機材に関する情報満載のエキスポがありました。

今年は更にアップデートした顔認証や体格認証を使い、その瞬間に店内に居るお客を把握して、個々のお客の買い物パターンから興味を持たれそうな商品が目に付く様な仕掛けがあり、販売機会を逃さないテクニックを使います。 

そんな中で、世界最大の小売業であるウォルマートが進めているIRL(インテリジェント店舗研究、写真右)の実験店では、店内に設置された約4千台のカメラに加えて、巨大とも思えるコンピューターサーバーを店の奥に設置して、これからの小売りのあり方や運営の仕方に関するビッグデータを集積中です。

時間が掛かるレジ精算の作業を、如何に簡単にスムーズにして買い物を済ませ、支払いをして買い物袋に詰め直して店を出るのか、というのは長年のスーパーマーケットの夢の話ですが、そこに全エネルギーを使う企業が集まっていました。

バーコードと画像をを読み込み重さを計り支払いまで出来る

ニューヨークの実際の店内で実用されている

そもそも支払いするという買い物の最後の部分を省いた様なアマゾンGOですが、それに匹敵するお店はいくらでも出来てきます。

そして今現在、既にニューヨークのスーパーで目の当たりにするのは、ショッピングカートに買いたい商品を入れるだけで買い物が終わるというものです。

スーパーマーケットや小売業に関わる皆さん、これは何をさておいても先取り体験しなければ分かりませんよ。

ハイテクを小売りの場に組み入れる取り組みも、色々な形で進化しています。

ニューヨークの7-イレブンの一部の店では、レジを通過せずに買い物が終わるというアプリが使われているし、その買い物のたびにポイントも溜まっていくという仕組みが使われています。

ニューヨークのコンビニは時として混むんです。 そのレジだけで5分以上待たされる、それがいやで他の店にお客は流れてしまいます。 でも7-イレブンはもう大丈夫です、この通り、私自身も頻繁に使っています。

他のスーパーも小売業もこれに続いていて、バーコードリーダー、RFIDリーダー、画像認証等を駆使してキャッシュレスやレジレスの店舗が出来ています。

願わくば、時として30分も並ぶ事があるトレーダージョーズ等でも早くこんなシステムを使って欲しいです。

製造業はロボット化も進んでいて、工場倉庫で作業に使うロボットの性能が著しくバージョンアップしています。

そして小売業は、スーパーの店内では監視ロボットが動く様子が実際によく見られる様になりました。

多くは店内の状態を監視し、床に障害物や液体やごみが落ちている状態を感知します。 アップグレード版は画像センサーを使って商品在庫を検知して報告し補充を知らせます。 更にアップグレードして吸い込み(掃除機)を付けた監視ロボットは床の掃除が必要な場合には掃除まで出来るものが出ています。

3月にはアメリカ最大級の国際レストラン・エキスポがあり、レストランを運営する側にとってこれに参加すると最新の状況から機材やサービスまで全てが分かり、ここではリカーやお酒も扱われます。

同じ会場で同時開催されるヘルシーフードとコーヒーフェスがある事から、この3つを含めて見逃す事が出来ない大イベントです。

これは3月08日(日曜)~10日(火曜)に市内のジャビッツ・センターで開催されます。


3月はレストランとフードサービスに関するエキスポですが、6月はファンシーフードショーがあり、これは世界中からの食材がここニューヨークに集結しそれを紹介して拡販するというイベントで、日本の食品を紹介しようという企業も沢山出展される予定です。 6月28日(日曜)~30日(火曜)まで開催され現在出展企業を募集中です。

下城NYニュースではこの2つのフードイベントを挟んで、各々の前後に視察研修のプログラムを計画しております。

日程が合えば、ボストン、ワシントン、シカゴ、オハイオなどと組み合わせた研修プログラムもお作り出来ます。


□■ウェグマンズ■□ 2019年10月27日にブルックリンで開店したウェグマンズ最新店は、1999年にニューヨーク市の商圏としては初のニュージャージー州プリンストン店が開店してから約20年を経て、又、101店舗目にしてやっとニューヨーク市内に開店した店となりました。 

1915年にニューヨーク州の田舎町ロチェスターで家業の食品店から創業したウェグマンズは2020年には105年目となりました。 チェーン展開はニューヨークを中心に北はボストンの郊外周辺、南は首都ワシントン周辺から少し南下した地域までのリージョンだけで展開し、全米最高のスーパーとされています。

近年の店舗展開では必ずビジネス街がある地域で、中級以上の高額所得者が集まる地域に出店しています。 それには重要な理由があり、今業界で脚光を浴びている、店内で食事をする事、そしてケータリング、デリバリー、ピックアップを重要視しているからなのです。

グローサラントという言葉が日本で使われ出しグロサリーストアにレストランの機能とサービスを併設した店を表していますが、ウェグマンズでは1930年に300席のカフェテリア・テーブル付きの店が出来ていて、その分野では草分けである事が分かります。 その当時にはこの店その部分を「ショープレイス」と呼んだそうです。

新しいアイデアをどんどん採用し、インストア・ベーカリーを作り店内にファーマシー(調剤薬局)を併設する事、バーコードをレーザーで読み取るレジ方式採用、プラスチックの買い物袋を店頭で回収して再利用など、今では当たり前の事の多くをウェグマンズは最初に始めているのです。

「ケータリング、デリバリー、ピックアップ」などをはじめとして、色々な仕組みが駆使されている事が分かっていて、この店を研究すると、同様に業界初の色々な事のヒントを学べる筈です。

売り場の広いウェグマンズでは、扱い品目数も多く、通常のスーパーの2倍に当たる7万5千SKU扱われています。

このブルックリン店では売り場の制限から約4万に押さえられているとの報道です。 その売り場をどの様に効率よく使ってブルックリンに合う店を作り商品構成をしているのか、大変興味深いところです。

ニューヨーク市の商圏に進出してちょうど20年になるウェグマンズですが、その間にも全ての店内にあるイートイン・コーナーのマーケットカフェは進化をし続け、サラダバー・惣菜バー、スープコーナーはアップグレードし、インストアの寿司、ピザ、サンドイッチのコーナー、ロケーションによってマイサラダやメキシカンも加わり、グローサラントには拍車が掛かっています。 

付近の客はこの食品店に朝ご飯を食べに行き、コーヒーを買って焼き立てのベーグルやマフィンも買い、ベーコンエッグのサンドイッチ他各種のサンドイッチも揃っています。 ランチは仕事場の仲間が集まって一台に乗り合わせて来ても何でも揃うマーケットカフェはどんなレストランより都合良く出来ています。 今までに無かったスーパーの有り方の実践です。 

ウェグマンズの一部の店舗にはフルサービスで酒類も提供するPUBや,注文が入ってから作るファーストカジュアルのBurger・Bar,店舗によってはAmore, Next Door 等本格的なレストランが入っている事で、全米トップのグローサラントを確実なものとしています。

先に書いた通り、ブルックリン店は通常のウェグマンズの地方型や郊外型が1万4千平米程の広さなのに比べ、約半分の7千平米程の売り場面積です。 

通常のウェグマンズの様に入り口から奥まで見渡せる低めに設定されたフレッシュの売り場、二段階グレードのPB商品で価格をぐっと抑えながらも高級ブランドに競合出来る商品構成がある事でどこから見てもウェグマンズである事を間違える事はありません。 ただしこの街中型ではゴンドラの上に商品在庫が乗っています。

非常に効率よく売り場が作られ、件のイートインのコーナーは中二階に170席を確保、そこにはカクテルやハードリカーも扱う本格的なバーを併設しています。

ウェグマンズのバーに夕方立ち寄ると、この地域の頭脳集団の人達がイッパイやっている姿が見えたりします。

店内や売り場の写真を少しここに載せてみます。



ウェグマンズ・ブルックリン店が入っているこのネイビーヤードという再開発地域は、広さが東京ドーム約20個分とい

う元はアメリカ海軍が工場を含む施設としていた敷地で、現在は映画スタジオや芸術関連の企業やグループが入り、更にはアメリカ屈指のハイテク企業や未来型のビジネス、宇宙関連ビジネスを優先的に集めていて、頭脳集団や高収入層も揃うという一角になりました。 

そういう工場倉庫街の一角でもある地域に出来たウェグマンズですから、通常の半分サイズの売り場面積ではありますが、全てにおいて手抜きをしていません。 

チーズ売り場は充実し試食販売も通常のウェグマンズの通りの充実さです。

この店舗で初めて用意されているのが一人用のポーションになったミートです。

ステーキもローストも、煮込みに使えるブロック肉もこの店内で作られるブルックリン特別仕様が用意されています。


□■スチュー・レオナード■□ コネチカット州で創業してニューヨークの郊外でも好調のスチュー・レオナードは、2019年秋にはじめてニュージャージー州側に開店、これも今までの店舗同様絶好調です。

ニューヨークの北東側のコネチカット州には本店を含む3店舗、ニューヨーク州にはニューヨーク市からも近いヤンカース店を入れて3店舗、そしてはじめて出店するのがニュージャージー州パラマス店で、リージョナルモールのキーテナントとしての出店です。

小売業の激戦区であるパラマスでは、トイザらスやシアーズ等が倒産閉店し、多くの主要小売業が店舗を閉鎖し縮小している状況です。 そんな中でのスチュー・レオナードの新店舗開店は非常に頼もしいものでもあります。

この地域の酒販法の関係で、スチューレオナードでは店内ではビールまでの酒類しか扱えませんでしたが、このパラマス店でははじめて店内で全てのアルコールを扱っています。

約1万平米の売り場面積は、従来の大型店舗と同等のサイズで店内では野菜果物の売り場と肉魚のサービスカウンターが並び、その周りでは牛や鶏が歌って踊り、ミルクもバターもチーズも、バナナもアボカドもディズニーランドへ行った様、非常に見応えのある楽しい売り場になっています。


□■リドル■□ そのパラマスの一角にも出店したのがドイツから始まりアメリカ東海岸で強力に展開を始めたボックスストアチェーンのリドルです。

ドイツから進出したボックスストアといえばその代名詞はアルディですが、そちらは1976年にアメリカ進出を果たし、シカゴを中心に現在ではほぼ全米に2000店舗スケールで展開しています。

同じドイツから追従する様に展開を始めたリドルは2017年に首都ワシントン地域からの出店で現時点で100店舗を越えています。 

ニューヨークのスーパーマーケットチェーン「ベスト・マーケット」を傘下に入れ、その店舗をそのままリドルに変える事で一気にニューヨーク商圏の展開が始まりました。 ドイツからアルディとリドルという二つのボックスストアチェーンがアメリカに来た事で、アメリカの多くの食品店が影響を受けました。

リドルは既にニューヨーク市内のモールにも出店し、マンハッタンの中心から1時間以内の郊外住宅地域を中心に5~6店舗となています。

□■アマゾンGO■□ 2019年の視察研修で沢山のご質問と視察のリクエストを頂いたのが、アプリを使う小売業、キャッシュレスとリワードをどの様に利用しているかというものでした。

そして多くの皆さんが視察したいと言ってきたのがアマゾンGOでした。

アマゾンGOのダウンタウン店舗は2019年5月に開店しましたが、ゆっくりと店舗数を延ばしニューヨーク市内の中心部だけで現在8店舗となりました。 

店舗数だけでなく色々な実験も続けられ、間もなくニューヨーク初のアルコール類を扱うアマゾンGOが出来そうです。

先に少し触れましたが、ニューヨークではアマゾンGOに続くキャッシャー不要の小売業が出てきていて、大きな投資をして店舗にシステムを組込むのか、小さな投資で買い物カゴにシステムを組込むのかという両方が見えています。

ニューヨーク州の酒販法は厳しく、どこでも何でも売れる他の州とは違う規制を受けていて、アマゾンGOではどんなコーナーを作るのか興味深いところです。

2020年1月現在、全米では約25店舗となりましたが、採算が取れるビジネスかどうかも未知のこのアマゾンGOですが、この先がどうなるか楽しみです。


それにも増して興味深いのは、アマゾン傘下のホールフーズの今年の進み方と、ホールフーズとの競合はしない通常型のアマゾンマーケット(仮称)のスーパーマーケット業態です。

ホールフーズは一段階下の365by ホールフーズという小さめの店舗でサービスもカットし、PB商品を多く扱う事で商品を割安に購入出来る業態を展開していましたが、この業態の展開をストップさせて更には将来的に終了となります。 その結果として食品店として最上級といわれる現状のホールフーズと、誰にでも好まれ使われる平均的な店作りのアマゾンマーケットの二段構えにする事で、競合を最低限にするとの考え方です。

ホールフーズの店舗網は現在500店舗を越えていますが、通常型のアマゾンマーケットは2000店舗との報道もあり、そうなった時のスケールが非常に興味深いものです。 

これは既に昨年夏に工事が始まっており、一部の報道では2019年内に開店かとの噂がありました。

情報が少ないですが、アマゾンマーケットも間もなく開店する事と楽しみにしております。


6月にはニューヨークで大きな食品の祭典「ファンシー・フードショー」がありますが、その直前にウェグマンズの開店があり、郊外の食品店事情が大きくゲームチェンジされます。

ニューヨーク・エリア最高の住宅地である北側の郊外で現在工事が進んでいて、間もなく全容が分かってきます。

分かっている事は店舗面積は約1万2千平米で、付近にはニューヨーク有数の最高級住宅地と共に中級住宅が広く広がっている事、また、大小のオフィスビルがあり有名企業の本社や沢山のホテル等もあり相当のビジネスマンが住み暮らし、働いている事です。 私のもと地元なので、事情が良く分かります。

既に時計台も出来ており工事の進展もよく把握しております。

ウェグマンズ郊外店の周辺の写真をいくつか載せます。

シンボルマークの時計台


店舗裏側の配送口はトラックドック  付近には更にオフィスビルが工事中 

中級住宅のアパートは5~6千万円だけど、いつ雪が降っても雪かき付きで大丈夫


□■視察研修プログラムについて■□ 

ニューヨークからワシントンへかけての視察研修では、全米トップ評価の食品店チェーンであるウェグマンズ、ホールフーズ、トレーダージョーズ、西海岸発のスプラウツに加え、フロリダ発でこれも全米最高という評価をウェグマンズと二分するパブリックス、全米最大店舗数を誇るクローガー等くまなく視察する事が出来ます。

この研修では都市部と近郊を中心に今やるべきスタイルであるグローサラントを勉強し、エコと健康という自身の為と地球の為にこれから必ずやらなければいけない食品店を勉強、そして店作りとカスタマーサービス、そしてどの店でも従業員を如何にして楽しく働いてもらうか、等を実感してもらえます。

そしてニューヨークでは、先に触れましたが今後のスーパーマーケットが採用するであろう、そして既に実用化し稼動させている自動精算型のショッピングカートも含め、どんどん視察体験して頂けます。

アプリもリワードもキャッシュレスも、沢山の情報を準備しております。

条件とタイミングが合えば、この店舗のアポイントメントを調整致します。

本年の視察のご相談に関して、私の日本出張中のタイミングが合う限り日本でのオリエンテーションや説明会を開催する事とします。

早めに日程を立てて頂く事で調整させて頂けますのでご相談下さい。

是非この視察研修プログラムで最新情報をキャッチして、アメリカの優良企業を目の当たりに接し、愛社精神と人間力を培いこの業界をリードするトップになって頂ける事、又、参加されるスタッフさんの感動を引出す事は間違いありません。

ご興味のある方は下城までご連絡下さい。

                               

チャーリー下城NYC■ 1/20/2020

SHIMOJO NEW YORK NEWS

チャーリー下城の仕事は徹底した流通業界の下調べと足を使った確実な情報に基づいています 賞味期限の切れたような情報はございません チャーリー下城の視察研修をぜひご体験下さい ニューヨーク・ボストン・ワシントン・シカゴは豊富な経験と 幅広い情報からお客様に見合った最善のアレンジをご提供させていただきます