下城NYニュース 9-'20

下城NY・ニュース、2020年9月

  

ニューヨークからの最新ニュースです。

コロナ感染の縮小には非常に良い数字を出しているニューヨークですが、いまだ経済再開には注意深く失業者率も高いのが現状です。 特にニューヨーク市内の繁華街ではリモートワークが日常化している為に、街中全体や朝夕の通勤時の交通状況がぐっと空いている状況です。

レストランは店内飲食禁止の状況が続いていて、テイクアウトだけでは十分な売上げも確保出来ない為にニューヨーク州では屋外席の設置を推奨しています。 多くのレストランが店舗前の歩道や簡易の仕切りを作って車道へのテーブル席設置を許可されています。

9月30日からは店内飲食の許可が出ましたので、客数制限は25%までという制限付きではありますがこれでやっと大きな一歩前進となります。

その程度の制限付きレストラン再開だと、おそらく現在習慣化している内食の現状はあまり変わらずに食品店に頼る食習慣が続く事と想像出来ます。

そしてこれも便利さが受けて習慣化しているデリバリーとカーブサイドピックアップ(P/U)という買い物のしかたが続くと言われています。 カーブサイドというのは、歩道ぎわでという意味ですから、店内には入らずに店頭で受け取れるという事で人との接触はミニマムになるという事になります。

お客はスマホ等でその店のアプリをダウンロードしておき、P/Uしたい数時間前か前日(最大1週間程度)にアプリから商品のオーダーが出来ます。  デリバリーでは半日くらいの準備と実際の配送時間が必要ですが、P/Uの場合は多くの場合2〜3時間後に受け取る事が出来ます。

各々の店舗又はチェーン店独自の発注品準備とデリバリーのシステムがある場合と、全米スケールで展開しているインスタカートや日本にも行ったウバーイーツ等外部業者との提携があります。

各々時間や距離で手数料が掛る場合があり、アプリでの商品価格(最低でも商品を集める手間が掛かる)が5〜10%割増されてセットされている場合もますが、P/Uでは全く費用は掛からずセール価格も適用される場合もあります。  多くの場合、年会費($75~$150程度)があり、毎回のデリバリーには手数料チャージが掛かり配達員のチップは別となります。 

写真は全米最大のスーパーマーケットチェーンであるクローガーで撮った物ですが、2〜3週間分のまとめ買いはこんな感じで、ここではP/Uの場合の手数料が全く無料でありこういうチェーンも多くあります。 


週に一度のまとめ買い等では30分か1時間掛かる事を思うと、現状の人との接触を避けたい場合に、毎週の決まった買い物であればP/Uの需要が増える事は十分理解出来ます。

クローガーのこのピックアップ専用店舗(ダークストアと呼ぶ)はコロナ前には通常の店舗であり、コロナでピックアップの需要が一気に上がった為に特に選ばれてP/U専用店舗とされたものでした。  場所はクローガーの本社があるオハイオ州シンシナッティ市で、この地域ではドミナント展開している事から地域に重複し得る店舗がある事と交通の便が良くピックアップに都合が良い事で選ばれたとの事です。

当然広い駐車場があり、そこには通常の駐車ではなく買い物荷物の作業がしやすい様に広くスペースを取ってあり、この駐車場に63台分のピックアップスペースを作ってありました。 商品の受取りはお客は車内で待つ事でスタッフとの接触は無く、双方ともに安全性が高いという事になります。

既存店であった事からこの店内に調剤薬局があり、その部分だけは横のドアからお客を入れて接客サービスや予防注射を受付けています。 スーパーの売り場に準じているので医薬品全般や医療用品もここでは売られています。

アメリカではインフルエンザ等の予防注射はドクターではなくスーパーマーケット内の薬局を含むアポイント無しで受けられるところが普及しています。 薬剤師など訓練と認可を受けた人が接種します。

実はこの食品をデリバリーしてもらうビジネスは日本では相当昔からあったし、ニューヨークでも30年程前には確立してものがありました。 日本では多くの場合酒屋さん、米屋さん等重い物を売るお店が週に一度位御用聞きと言って立ち寄って貰っていた記憶があります。 少し違いますが中華屋さんそば屋さんも、朝のうちに前日の出前の丼を引き下げに来てその日のランチの注文を取るというお店がありました。

食品デリバリーに関してだとニューヨークでは、30年以上前にシカゴで創業されたPeapod(ピーポッド)が進出してきてシステムとしてオランダのAホールド社傘下のスーパーマーケットを使ったデリバリーを開始しています。  この分野を最初にシステム化した企業といえます。 ちなみに1996年当時は電話やファックスを使った発注が多かったものの、ウェブサイトを使ったオンラインサービスを開始しています。

過去にはシカゴを中心とする中西部から東海岸、そしてテキサスやカリフォルニアを商圏としていましたが、現在はAホールド傘下のStop & Shop とGiantを拠点として商品配送をしている関係で、商圏はそれらの店舗網であるNY周辺と首都ワシントン周辺に集中しています。

ピーポッドのデリバリーでは購入金額によって$7〜$10、程度の配達料とミニマム額$30、となっていて、配達員のチップは別です。

ニューヨーク独自の食品デリバリーではフレッシュ・ダイレクトが有名で、有名なフェアウェイマーケットの元社長が1999年に創業、20年を超えています。 フェアウェイは食品卸問屋から始まったグルメストアですから、無店舗販売のデリバリースーパーを創業するのにはもってこいの人によって興されたものと言えます。

当初はニューヨーク市内の高い家賃や人件費を避けられ、限定的な地域のデリバリーから始まりましたが、今までの店舗売りよりも安くて品質も良い事で好評を得ました。

倉庫とプラントはニューヨーク市内のクイーンズ地区からブロンクス地区へ移転し広さも倍増、トラックの数とスタッフも一気に増えたところで今回のコロナが起こり、ドライバーやスタッフ増員で対応しています。 アメリカではよくある事ですが、良いスタッフを優先的に採用する為にイニシャルボーナス(入社支度金$2,000.00)で対応しているとの事でした。

プラント内はハイテクのロボット化しているという報道です。

現在配達でカバーしているエリアはニュージャージー州とコネチカット州を含むニューヨーク市の商圏全域と、ペンシルバニア州フィラデルフィア商圏、首都ワシントンと周辺地域となっていて、地域によって$6〜$16程度の配達料と$30〜$100、のミニマムがセットされています。

ウェグマンズやホールフーズというスーパーマーケットチェーンも各々デリバリーとP/Uに力を入れていて、コロナ前には店内飲食やフルサービスレストランを併設するグローサラント化は、屋内で酒食を摂る事がリスクになり得るという事で惣菜だけでなくそれをセットしたプレートやミールキット等にシフトしてきています。 それら全てをテイクアウトもデリバリーもする事が出来ます。

両チェーンとも全米展開しているインスタカートとの提携でデリバリーとP/U受渡しをやっています。

インスタカートでは独自のアプリがあり、メンバーは住んでいる地域で登録されている全ての店を指定して買物が出来ます。 例としてはオーガニックの食品はホールフーズから、日用雑貨品は大きなパックを安く買えるコストコから、又、両店で扱っていない商品をウォルマートから購入する事も可能という事です。

写真はウェグマンズのP/Uコーナー、ホールフーズのマンハッタン内のダークストアとインスタカートスタッフの集荷です。

インスタカートでは多くの店舗内に自社用の準備スペースを確保している事も多く、その経費を捻出する為にアプリで購入する商品の価格は店内価格に上乗せされた価格であり、その上にサービス料+チップ等が掛かります。

それでも店に行き店内で買物をする手間と時間を考慮してデリバリーかP/Uという選択が使われています。 ほとんどどのチェーンやシステムでも、P/Uの場合の料金はデリバリーよりも安く時間とお金の節約と考えられており、デリバリー範囲の制限も関係なくなる事から全米の消費者に使われている様です。

アプリでの発注は以下の様に受取りたい店舗を選び、受取り希望の時間をリストから選択して買い物を始めます。 冷凍食品や惣菜、パックされた肉を選ぶ事も出来ますが、最終的な商品価格は後日微調整されて引き落としされる価格が変わってきます。 扱い品目は3万品目以上との事なので通常の店内にあるもののほとんどが購入出来ます。

ピックアップとなった場合には先に述べたカーブサイドピックアップに加えて他の方法もあり、コロナ騒動があった事でこれらがどう変わっていくかというのが興味深いです。

アマゾンはホールフーズ店内や駅、オフィスビル内等にピックアップロッカーを設置していて、全米に3000カ所以上あると言われています。

ウォルマートは店舗前や横にピックアップ専用スペース作っていますが、ピックアップタワーという巨大な自販機の様な受渡し機を店内に設置しています。 それらは店内に入りたくなくボタンを押したくない状況になった今、どう変わっていくかという課題があります。

コロナが我々の生活を大きく変え、リモートワークが普及し働き方改革に大きな影響があり、又食事は内食化した事で家での過ごし方や在り方変わりました。 買い物ではデリバリーとピックアップという買い物の仕方も大きく変わりました。 その部分においては、コロナがなければ5年か10年掛かって変わっていくであろう事が半年位で変化したといえるかも知れません。

ニューヨークでは、コロナの影響で食品店をはじめ多くの小売店で沢山のそれまでにして来なかった事をやりました。  これは一例ですが、こんな事を強いられたと言っても過言ではないかも知れません。

その為に時間が掛かり営業時間を短縮して清掃と消毒をして、買占めやまとめ買いがある為に今まで以上の品出しに時間を費やし、しかもいつでもお客にとってもスタッフにとっても安全でなければいけないという事になりました。

幸運な事に、アメリカではエッセンシャルワーカーに対する感謝の念は強く、給与の面でも報われた感があります。

アメリカの事ですからそれは価格にも反映し、コロナ後の商品価格は感覚として10〜20%上がり、マスク等はもともと誰も買った経験も無かったですが2倍か3倍になっても商品は無く、品不足のサニタイザーや洗剤、トイレットペーパー等商品によって2〜3倍で売られていました。

コロナをきっかけに買い物はオンラインに頼る人が増え、消費者意識も変わってきました。

下の赤い棒グラフは、消費者の買い物の仕方です。

コロナ前(Before COVID)は濃い赤のいつも店での買い物という客が54%、上に上がって色が薄くなるに従ってほとんど店では23%、オンラインと半々は15%、その上はほとんどオンライン、いつもオンラインが各々4%、3%と、ざっと3/4程度の人は店での買い物という感覚だと言えます。

コロナ中はその割合が変わり、いつも店での買い物が28%、ほとんど店が15%とグッと下がり、オンラインでの買い物派が1/3程度になりました。 コロナ後は想像ですがコロナ中ほどではないもののオンラインの便利さを覚えた相当数のお客がオンラインを使うとなっています。


その下の棒グラフでは価格とPB商品に関する調査です。

コロナで商品の価格が上がった事と、オンラインを使う事で店との関係が出来た事でPB商品を買います派がコロナ前の37%から43%に増え、それはコロナ後でも続くであろうという想像されています。


各チェーンは配送センターがあり、各々自動化している部分があります。

そして昨今の各店舗におけるデリバリーとピックアップが好調な事から、今後どんどん出来てくるものがマイクロ・フルフィルメントセンター(M.F.C.)という小さな面積で設置出来るロボットを使う商品管理と配達商品パッケージのシステムです。  当地では100坪程度のスペースで店舗横のスペースに設置するケースなどが出てきています。

MFCのサイズ(面積と高さ)によって扱える品目数が変わり商品補充頻度が変わります、又、時間あたりの処理速度が変わり、マニュアル(人間が)作業するものとの分担になります。

写真はウォルマートが既に実用させているスーパーセンターに隣接して作ったMFCで、アルファボットというロボットを導入しています。

今後作られる多くのスーパーマーケットに類似のシステムを付けてデリバリーとピックアップに対応出来ると想像出来ます。

今提案されている中にはそのハイブリッド型があり、お客は専用アプリで日用雑貨品を中心に買い物をして発注しピックアップ時間を指定しておきます。

生鮮のものは今まで通りに店内で買い物をして好きなものを選び、生鮮商品の買い物終了後に発注しておいたグロサリー品を受け取って買い物が終了です。 

日本の消費者は生鮮食品に関する目が厳しいので、この方法なら受け入れられるのではないかと想像出来ます。


宣伝するわけではないですが、このMFC専門業者ではこれだけのメリットがあるという事を言っています。

今までの倉庫と比較して60%広さを節約して商品在庫が可能です。

希望に合わせたサイズを作りそれに合った品目数を扱う事が出来ます。

空いたスペースをフレキシブルに使う事が出来ます。

エネルギーの節約が出来、10代のロボットの消費電力はトースター1台分です。(トースターは電気食う)

信頼性、正確性は99%以上との事です。


世界最大の小売業であるウォルマートは全世界で1万1千店舗以上の店舗がありますが、今回のコロナ騒動では色々な対策と変更をしています。

最新ニュースではE-コマースに対応した店舗内外を発表し広いピックアップコーナーを計画しています。

下城NYニュースではアメリカのスーパーマーケットと小売業の情報発信として、オンラインのウェブセミナーを行っております。 ニューヨーク周辺のスーパーマーケットは勿論、ウェグマンズやホールフーズと並んで全米最高と言われるパブリックスを含むワシントン商圏のマーケットやボストン、シカゴという小売業の先端店舗がある地域のマーケットと比較したセミナー内容をお作りしています。

通常のニューヨーク視察であれば2都市は可能ですがそれ以上は非常に時間が掛かりなかなか足を伸ばせません。

コロナ騒動が続いておりますので、皆さんが行けない分、私が足を伸ばしてご紹介致します。

 

是非この視察研修プログラムで最新情報をキャッチして、アメリカの優良企業を目の当たりに接し、愛社精神と人間力を培いこの業界をリードするトップになって頂ける事、又、参加されるスタッフさんの感動を引出す事は間違いありません。

ご興味のある方は下城までご連絡下さい。                               

              チャーリー下城NYC◾️ 9/30/20

ニューヨークでは毎日の様に新しい動きがあったり情報が入ったりします、ニューヨークの小売業と外食産業の動くを頻繁にアップ致します。

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