下城NYニュース 12-'20

ニューヨークからの最新ニュースです。

今回はニューヨークではなく地方のスーパーマーケットの事を書かせて頂きました。


日本もアメリカもコロナが拡大していて、政府も国民も数値を見ながら試行錯誤して毎日の生活を進めている状態です。  アメリカの最新ニュースでは1日の新規感染者が20〜25万人ですから、比較してもしょうがないですが日本で発表される2〜3000人程度に比して100倍近くになる筈です。

コロナが発生した3月、4月頃、ここニューヨークは全米1の感染地域でしたが、だからこそ市民が協力して一気に縮小も出来、結果として全米トップクラスの縮小地域になっています。 

しかしこの数週間で状況は悪化し、今週からニューヨーク市内のレストランでは店内飲食が禁止となりました。

次に何が起きるかといえば、自宅での食事が多くなる為にマーケットへ行って今まで以上に食材を買う事になるわけで、買占めという事ではなくても、今年何回目かの食材日用雑貨品の品不足になるのかも知れません。

ニューヨークで盛んに使われているスーパーのショッピングは、今回はオンラインの買い物とデリバリーサービスです。

そしてそのオンラインサービスは、地方や郊外エリアではお客によるピックアップのシェアが一気に増えています。

テキサス州の巨大なスーパーマーケット

アメリカ本土で最大の州は南部テキサス州ですが、大陸のほぼ中央部で下の方に位置し、その面積は日本の約2倍あります。

ちなみにアメリカ全体の面積は日本の25倍以上といわれています。

そのテキサス州で400店舗以上のドミナント展開しているテキサス第一のスーパーマーケット・チェーンがH-E-Bです。

HEBはこのコロナ渦の中においても店舗展開が続いており、新規開店する多くの店舗でコロナが起きた為に店舗や店内にアレンジが加えられています。  今回は10月末に開店した、HEBチェーン網の中で最も北側(内陸部)に位置するラボック店についてお話し致します。

本部はテキサス州の中でも南側のサンアントニオ市にあり、400店舗以上のチェーン網の一部は現在では州の南側に面する隣国のメキシコ北部にも及ぶそうです。

400店の中には、高級志向業態のセントラル・マーケットやボックスストアの業態もあります。

1905年に個人食品店として開店、その後創業者の息子が店を引き継ぎチェーン展開しました。  現在は更にその息子が引き継ぎ、3代目が社長をしているという家族企業です。

テキサス州と言えばサンアントニオよりヒューストンやダラスという大都市があり皆さんも名前はご存知の事と思います。

ラボック市はテキサス州11番目の小都市で人口は周辺まで入れても35万人程度で、周辺のどの都市へも150〜200キロ離れている事から、高速道路を車で数時間ドライブしなければ行けないという日本ではあり得ない立地です。 市内にはローカル空港はありますが地方の宿命で便数は少なく、どこへ行くにもダラス等経由の様です。 それでHEBの進出も遅れていましたが、これを機会にこの北部地域での展開が始まります。  ラボックの買い物事情としては、ウォルマート等に加え同地域に本社があるアルバートソン系のユナイテッド・マーケットが多数出店しています。

ちなみにテキサス州(オースチン)が本拠地の人気健康食品スーパーのホールフーズや同じく人気絶好調のトレーダージョーズなどはラボックに進出しておりません。

州の面積も広くて大きなテキサス州ですが、人も大きく買い物のサイズも大きいのでラボックのHEB最新店は約1万1千平米以上という、スーパーマーケットとしては平均の2倍近い大きな店で、おそらく食品スーパーとしては地域最大級と思われます。

市民生活は現在コロナが起きた事によって色々な制限があり、HEBの営業時間は6時から24時とされ、併設されているガソリンスタンドだけが24時間営業をしています。

コロナ感染状況において概して数値は高く、又制限はゆるいテキサス州ですが、HEBでは他店に比べて店内のマスク使用率が高い様でした。 州のルールではマーケット内やレストランの入店客数制限は75%まで入店出来、他人との距離が保てない場合はマスク着用が義務付けられています。  付近の競合するマーケットやウォルマート等を含む店舗ではマスク無しのお客も見られました。

店内各所に周りの客との距離を保って貰う為のソシアルディスタンス用スティッカーなども貼られています。

開店直後の取材だったので、ストアガイドが用意されてました。

HEBの最新店では広い店内に地元の大学やスポーツチームのグッズも扱うスポーツ用品店を作り、本格的なバーベキューを出すレストラン「True Texas BBQ」を作っています。  

半独立の形なのでお客はマーケットの中に入らずにレストランに入れ、ドライブスルーでピックアップする事も出来ます。

店舗前の歩道は特に広く、コロナの状況によっては屋外席を作る事も店内に入らずにテイクアウトをする事も出来る様に柔軟性を持たせている様に思えます。 

ドラッグストアは店内右側に沿っており、栄養相談などのコーナーも作り広くとってあります。 

処方箋薬を注文する窓口と受取る窓口を離して作り、この写真の通りそこには広い待合ロビー(病人かも知れない人が近付かない配慮)も作ってあります。 

このドラッグストアではインフルエンザの予防注射も行っており、コロナワクチンも将来接種するそうです。 

この医薬品コーナーの一面は外部に面して窓が付いていてドライブスルーで処方箋薬を含む商品を受取る事が出来、他人との接触を避ける昨今の動きから、この需要が増える事を想定して受取り用に2レーン用意されています。 

勿論店内で飲食出来るイートインスペースを作ってあり(他州ではコロナ中は制限あり)、その一角にビールやワインを提供するバーを付け、買い物の前後に食事する事も、買い物中にアプリを使って食事を注文しておきそれをテイクアウトする事も出来る様に作られています。 

カウボーイというイメージがあるテキサス州では食事は勿論スナックでもバーベキューを食べ、多くの場合フルサービスの(ウエイターサービスがある)レストランよりもカウンターへ出向いてウォークアップで購入するタイプになっています。 この店もセルフサービスで買ってイートインもテイクアウトも出来ます。

イートインエリアの一角には本格コーヒードリンクを出すロースタリーがあり、その店の一面(左側)は入口側に面していて、そこにピックアップ用の窓を付けた事で店舗に入るところでコーヒーを買う事も出来る様になっています。

左側の大きな窓が、入口に面しています。 位置関係分かりますか、下の写真の窓口という事です。

写真の通り入口のカート置き場に面しておりここでコーヒーを買う事が出来、数カ所にサニターザーが設置され手の消毒やカートやカゴの消毒を行えます。 

入口から入り一番初めにあるのが花屋かと思うくらい広くとられたフローリストで、良い匂いとカラフルな色を見せ、奥にはアレンジメントが沢山並んでいて、街の花屋に行かなくても十分用を足せる程のコーナーです。 

反対側にはバーベキューレストランの入口があり、それに並んで店内売り場が始まります。 

最初に出てくるのが生鮮売り場で、野菜果物から始まり、オーガニックコーナー、ローカル品コーナー、カット野菜コーナー等が並びます。 

そしてインストアベーカリー、デリーと惣菜等が並び、メキシコ系食品は勿論、スシのコーナーもあります。

各接客販売コーナーはアクリルガラスで仕切り、お客との距離が取れない場合でも安全な様に配慮されています。

テキサス州は隣国メキシコに面している事から中南米系住民も多く、インストアベーカリーでは焼き立てアツアツのトルティヤ(ラップ用のパン)も売られていました。

右側の棚がアツアツのトルティアで、我々で言えば炊き立てご飯のおむすびの様な感覚で、中に色々な具を入れて食べられます。

     

デリーと惣菜のコーナーは混む事が多いので、パック済みの惣菜やハムソーセージが用意されています。

コロナでレストランを使わずホームミールの動きがある事から、トッピングが乗ったサラダやスープに加え、店内でシェフ監修の上用意したホットやコールドの惣菜、下ごしらえ済みのヒート&サーブ惣菜やミールキットも充実しています。

鮮魚コーナーはアメリカ内陸部では比較的充実していない例をよく見ますが、ここでは広い売り場と品数が確保されています。  ただし鮮魚売り場をよく見ると、半分はサーモンとシュリンプだった様に見えました。

ミートコーナーは勿論広く、この地では珍しいドライエージングの肉を置き、上級グレードのプライムやナチュラルのミートを扱い差別化を出しています。  ホリデーやイベント用のコーナーがあり、今は七面鳥やブロックのハム、バーベキュー用のブリスケッやスペアリブなどの塊、またメキシコ系や中南米を含むエスニック系のお客も多い様で、レバーや胃袋等の内臓肉にスカートや豚足等正肉ではない肉のコーナーもあります。

熟成肉は21日以上のドライエージングとなっていますが、これは和牛の様に美味しい肉じゃなくても調理前に乾燥熟成させる事で肉を柔らかく美味しく出来る手段なので、肉の産地ではないニューヨークやシカゴ等で始められました。

この数年日本でも大流行りのドライエージングですが、かれこれ10年程前に最初にウィキペディアに乾燥熟成牛肉としてページを起こしたのが私でした。


テキサスでは上級の肉ではないモモの肉や骨付スペアリブやあばらの肉ブリスケッ等を、スモークする調理方法で美味しく柔らかくという食文化を持っています。 従ってここでは価格の高いドライエージングというのはあまり見る事がありませんでした。

NY周辺では酒類の販売で色々な制限がありますがテキサス州はゆるくほとんどのスーパーでビールとワインの品揃えはよく揃っています。 試飲コーナーも作りここでもローカル商品も扱われています。

 

レジは通常レジが14台用意され各々にサッカーが付きますが安全の為にアクリルガラスで保護されています。 更に10品目までの買い物客用に8台のセルフレジと4台の可動式レジがあり混雑時に稼働しています。

アプリを使ったオンラインショッピングでデリバリーとピックアップが出来ますが、店舗横にピックアップ用の駐車場がありお客は車から降りずに人との接点も無しで買い物を受取る事が出来ます。

各々の駐車スペースには番号が付いていて、アプリ操作で到着を告げてスペース番号を打ち込むと、お客は車から降りずに係員が買い物を積み込みまでやってくれます。

デリバリーはHEBが2018年に傘下に入れた「Favor Delivery」が受け持っています。 又、ピックアップスペースの隣には店内で売るバーベキューの屋外受取り口も付けられています。


マイクロ・フルフィルメントセンター(M.F.C.)導入

コロナによって買い物動向や方法が変わった今、全米の食品チェーンにおいて先に触れたデリバリーとピックアップが盛んに行われ店舗側はその対応に追われています。  

店内では買い物客に混ざってそのオーダー商品を揃えるスタッフが大きなカートを使って動いています。  これはHEBの店内で実際に撮影したものですが、カートを12に仕切って分ける事も出来、店内を回りながらお客の注文商品を揃えていき、大きなオーダーではこのカート全てを使って揃えていきます。

ニューヨークでは通常の店内用カートを使ってインスタカート等の係員がお客に混じって揃えていく姿を見ます。

しかし混雑する週末などはお客との距離も保てず、それを如何にスムーズにしかも安全にするかという大きな課題が上がっています。 

そこで以前から使われているロボットを使った配送センターのシステムを、扱える商品数を限定して小型化し、店舗内の仕分けとは別の商品を揃える為に、店舗横に併設する「マイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)方式」が進められています。

巨大な配送センターではなく小さなエリアをカバーする事がその目的で、単独施設の場合と店舗に併設する場合があり、既存店舗に追加で付ける事も行われています。

この(MFC)システムは日本にも既に入っていて、この分野ではAutoStore(Swisslog) やOcado、Alphabotなど海外(欧州)メーカーが活躍しています。

HEBではAutoStoreと提携し、MFCの建築が始まっていると報道されています。  ラボック店の右側と裏側には広いスペースが確保されていて、ここに将来MFCを作る事も計画されているのかも知れません。

写真はウォルマート・スーパーセンターのボストン郊外の店舗です。


右側のPickupという青い看板の部分が増築部分で、その中にMFCの装置が組み込まれています。

写真はウォルマートがその方式で既存のスーパーセンターの横にMFCを設置したボストン郊外の店舗の内部で、外部から施設内は一切見えませんが一部報道で内部の画像が見られます。

コロナによって買い物動向が大きく変わったアメリカで、食品スーパーの多くは売上げを大きく伸ばしており、今まで週に一度の纏め買いなどをする為に店に出向いていた消費者がそれまで以上に買い物量を増やしていて、実際にオンラインでデリバリーとピックアップの便利さを体験したわけで、コロナが収まった後もその動きは続くとの想定です。

コロナに配慮した買い物の仕方もそうですが、特にこのアプリを使った買い物、デリバリーとピックアップ、小売業側は如何に安全に効率的に商品を揃えて配送するか、本来は5年か10年掛かる筈の進化が10ヶ月間で起こっている状況と言えます。

後で触れますが、ニューヨークにお越し頂けない今、この分野を含めたオンラインセミナーを用意してありますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせ下さい。


2020年はコロナの影響でアメリカの通販状況と実情が大きく伸び、想定と違う事が起きていると想像します。

グラフを見ると通販での売上げトップは疑う必要はなくアマゾンで、2位はウォルマート、そしてebayと続きます。

コロナだから起きた予想外のトップ10入りが、9位に入ったクローガーです。

クローガーは全米最大のスーパーマーケットチェーンで、下城NYニュース9月号に載っています。

その中でも書きましたが、ドミナントしている地域内でダークストアを作りピックアップ専門のロケーションとしている程の需要があるという事でありました。

このトップ10の中の幾つかは大きな配送センター(D.C.)ではなくて対象地域を絞る、配送地域を狭い範囲とするM.F.C.の方が効率が良い場合があります。 スーパーマーケットはその最たるケースと言えます。


アマゾン・フレッシュの最新店舗はシカゴ郊外に開店

アマゾン・フレッシュの最新店が、シカゴ市の中心から約1時間郊外のペイパービルに12月10日開店しました。

2020年の夏、カリフォルニア州で4店舗が先行開店しましたが、コロナ拡大のタイミングがあった為にシカゴ郊外店開店が先週にずれ、これを皮切りにここで合計4店舗の開店が予定されています。 

床面積は約3200平米ですから店舗サイズは少し小さめのスーパーマーケットのサイズですが、この付近にシカゴ郊外2店舗目が開店という予定になっています。

シカゴエリアに開店するアマゾンフレッシュは報道されている限り全て市の西側郊外です。

実はこのネイパービル店は、実際には数ヶ月前に店舗が出来上がっており、12月の開店までの間はオンラインオーダーの対応のみとして、ピックアップも出来るダークストアとして営業をしておりました。 

フレッシュ業態はアマゾンGOと同様に入店にはスマホアプリが必要で、登録と支払い情報(クレジットカード等)を入力し、店舗に入る時に読み取りダッシュカートを選ぶと商品の自動読み取りが出来、買い物が終了したらそのままゲートを通って買い物が終了です。

お客のアプリとアレクサもリンクさせてショッピングリストを作ると、店内で通路も指定してくれる買い物マップを表示して素早くショッピング出来るそうです。

買い物の量は制限がある様で、このダッシュカートに用意されている紙製の買い物袋を二つ並べ、それに入る様な量の買い物という事になっています。

日本でもトライアル社など類似のシステムが実用化していますが、この分野の元祖であるアマゾンはシステムが非常にスマートに作られています。

このシカゴの最新店舗又は次に開店する2店舗目については、近日中に実店舗の取材予定になっておりますので、次のニュースに詳細をお伝えする予定としてあります。


下城NYニュースではアメリカのスーパーマーケットと小売業の情報発信として、オンラインのウェブセミナーを行っております。 

ニューヨーク周辺のスーパーマーケットは勿論、ウェグマンズやホールフーズと並んで全米最高と言われるパブリックスを含むワシントン商圏のマーケットやボストン、シカゴという小売業の先端店舗がある地域のマーケットと比較したセミナー内容をお作りしています。

通常のニューヨーク視察であれば2都市は可能ですがそれ以上は非常に時間が掛かりなかなか足を伸ばせません。

コロナ騒動が続いておりますので、皆さんが行けない分、私が足を伸ばしてご紹介致します。

以前にもお送りしましたが、アメリカの最新小売業をお伝えするオンラインのプログラムを用意してございます。

 

是非この視察研修プログラムで最新情報をキャッチして、アメリカの優良企業を目の当たりに接し、愛社精神と人間力を培いこの業界をリードするトップになって頂ける事、又、参加されるスタッフさんの感動を引出す事は間違いありません。

ご興味のある方は下城までご連絡下さい。                               

             チャーリー下城NYC■ 12/15/20

ニューヨークでは毎日の様に新しい動きがあったり情報が入ったりします、ニューヨークの小売業と外食産業の動くを頻繁にアップ致します。

これからもニューヨークの最新の状況と情報をこのブログにて発信しますので、是非このサイトを「+フォロー」等登録なさって下さい。

このすぐ下に「+フォロー」ボタンが付いてます。

SHIMOJO NEW YORK NEWS

チャーリー下城の仕事は徹底した流通業界の下調べと足を使った確実な情報に基づいています 賞味期限の切れたような情報はございません チャーリー下城の視察研修をぜひご体験下さい ニューヨーク・ボストン・ワシントン・シカゴは豊富な経験と 幅広い情報からお客様に見合った最善のアレンジをご提供させていただきます