下城NYニュース、5-'18
下城NY・ニュース、2018年5月
日本では春のゴールデンウイークが終わりましたが、皆様は如何お過ごしになりましたか?
ニューヨーク周辺では、冬が始まる11、12月は気温は下がりますが降雪は少ないのでその寒さに参ります。 この冬で言えば12月、1月は望外に暖かく助かりましたが、例年の如く2、3月には雪が多く降りました。
4月の初旬も雪も珍しくはなく、まさに今年の冬はそういう感じの冬の終わりでした。 ご覧の通り、ワシントンでは100年以上前に日本から送られた桜が4月中旬前後に見頃となり非常に壮観な景色です。
昨年から新しい小売業が首都ワシントン周辺からニューヨークに掛けて開店していて、今年はそのルートを使った視察研修に力を入れています。
ドイツ発の新規参入激安チェーンや南西部のアリゾナ州から始まったオーガニックやナチュラルを前面に出すチェーンが新店舗を開店しています。
又、ワシントンとニューヨークのほぼ中間地点にあたるペンシルバニア州には、この地域独特の生活習慣と自然農法を守るアーミッシュという人達の地域(ランカスターを中心とする)があります。(一部はシカゴ周辺にも居住)
ペンシルバニア州にはフィラデルフィアという都市があり、アメリカの独立宣言をしたこの都市の名前をご存知の方も多い事と思いますがこの街中にもアーミッシュが入る小売り施設があります。
アーミッシュという人達をご存知の方も居られると思いますが、これはヨーロッパからの移民で今でも入植当時の生活習慣を守っており電気や車や通信という今では当たり前の生活文化を拒否し、太陽が上がっている間に生活をして暗くなれば一日が終わり休むという、身体にも心にも良い生活なのです。
彼らの移動手段は馬か馬車、農業でも人力と牛や馬を使って畑を耕します。
正確には、近代文化を全く使わない人達もいる反面、多くのアーミッシュの人達も電話や冷蔵庫など最低限は使いますがそれに頼る生活はしないという事です。
アーミッシュとは一つの信義に沿った宗教の人の集まりで、ただしその信義と習慣を強く守ろうとする人達ばかりではなく現代の環境に少しずつ合せようとする人達が居るのです。
前者は非常用の懐中電灯や村の数ヶ所に設置された非常用の電話以外の電気製品はほとんど使わない生活との事です。
後者は食品を保存する手段としてのみ冷蔵庫を使い、最低限の現代文明を受け入れますがそれで生活を変える事はしないのです。
現実問題として、そうでないと電気やガスや通信と車が必要になる、我々が買いたい商品を売ってくれる人達も居なくなってしまいます。
これらの写真を見たら昔のアメリカ映画かドラマの世界みたいでしょう?
本当にこんな映画やドラマがあったと聞きました。
でもこれは映画の世界ではなく、今でも馬車に乗って昔ながらの生活をし自給自足が基本で、肉も野菜も小麦も、牛乳もバターもチーズも彼らの代々の作り方で自分達と仲間の為に作っています。
そんな素材から作られた食べ物が不味い筈はありません。
つい最近日本のスイーツ関連企業さんのニューヨーク調査・研修をやり、相当ドーナツやスイーツの研究をしました。
アーミッシュのドーナツはカッコイイとかおしゃれとは全く言えないものの、シンプルで美味しいドーナツでした。
ちょっと見難いですが、こんな普通のドーナツです。 でも何故美味しいかというと、ご覧の通りの手作りなのです。
上の写真ですが、こんなホイールスピンを使って型抜きして、手丸めでドーナツを作っています。
元々自分達で食べる為に作ってきたものですが、現代では彼らも生活していかなければならないわけで、それを分けて欲しいという人達に売る様になったのでしょう。
保存料は使わないし自分の家では元々冷蔵庫も無いわけですから長持ちはしないし、いつまでも柔らかく新鮮で食べられる物ではありません。
それでも沢山の人達がこのマーケットで買い物している姿は、お腹がこれを求めているのかも知れません。
アーミッシュが作る農作物も育てる家畜も、考え方は基本的に100年以上前と同じです。
化学肥料や成長ホルモン等を使わず、保存料も使わないのが基本です。
ペンシルバニアを中心にワシントンとニューヨークの間にあるいくつかのアーミッシュのモールには、これらの食品を使ったレストランもあり、イートイン用のサンドイッチやフライドチキンの店があり大変賑わっています。
普段目にする事も少ない七面鳥や牛肉のベーコン等があり、沢山のハムやスモークソーセージが売られています。
これはおそらく冷蔵庫がなくても長持ちする食品という事と想像出来ます。
当然ですが、レストランにはアーミッシュの人達も食事に来るのです。
食品だけではなく手作りの家具やインテリア品、キルトで出来たベッドカバーや縫製のものが多く扱われます。
どの家庭でも農作物を作っていて、今でも物々交換が行われているという事です。
アーミッシュの人達は文明の利器を使わない代わりに、家族や友人知人が団結して色々な事を共同で行います。
家を建てるのも皆が大工仕事を協力して建ててしまい、農作業も順番で共同での作業です。
日本で同じ事が出来るかどうか分かりませんが、こんな農法で作った食材や食品があったら心身ともに健康になれる事をぜひ確認しにいらしてみて下さい。
近年話題のグローサラントは英語のグロサリーストア(食品店)とレストランをくっつけた造語です。
日本の方は言葉遊びがお好きとみえて、どんどん新語を作りますね。
グローサラントという言葉でいえば、アメリカではごく一部の人がこの言葉を知っている程度です。
10年以上前には「ロハス」等もありましたが、実はこの業界の人もほとんど使わない言葉だってご存知でしたか?
その理由の一つは、食品スーパーで食事をする事はずっと昔からやっていて、例えば今回の研修でも使うウェグマンズでは1930年(昭和5年)に300席のイートインコーナーを持つ店舗を作っています。
その直後の1934年には、ケータリングを始めクッキングクラスも店の隣に開きました。
途中省きますが、1997年にフラッグシップ店を開き、2003年にはその店内にフルサービスのファインダイニング店を開店させています。 名実共にグローサラントの元祖なのですがこの店は出来るべくして出来た店とも言えます。
店内で扱われる食材を使ってメニューが出来ていて、このレストランで使う肉も野菜も魚もソースも全て店内で購入出来、それらの売り場も調理法もウエイターとの会話の中に出てくるのです。
現在のウェグマンズチェーン90店舗以上の中には、イートインコーナーは勿論の事ハンバーガーのファーストカジュアルタイプで酒類は提供しない「Burger Bar」が併設された店舗もあるし、フルサービス(ウエイターサービス)で酒類も提供する「PUB」が併設される店舗もあります。
どんなタイプのレストランを入れるかというのは、そのマーケット/商圏環境の違いだけではなく、各州で決められた酒販法によってどんなタイプのレストランが運営可能かという状況もあります。
ウェグマンズの出店条件はその地域にオフィスコンプレックスがありオフィスワーカーが居る事と、環境が良い中級以上の住宅地があり子育て世代が多い事などがあります。 多くの仕事場はワーカーの為にケータリングを使います。
この場合には概して共稼ぎの家庭が多く、家族単位の収入が高く(食欲旺盛な)子育てもしていて購買力があります。
週に一度の纏め買いでは、家族揃ってウェグマンズへ行き先ずは食事をして場合によっては一杯飲んで、大きなカートに目一杯買う事も普通で日本では信じられないくらい価格を見ないで商品を購入します。
郊外の大きな家では頻繁に人を集めたパーティーを行い、必要な食品はほとんど惣菜かケータリングで賄えます。
そういうパーティー用の準備も全てがウェグマンズで購入出来る事になっているのです。
ニューヨークの中にもグローサラントは沢山あり、その典型的な例が2017年2月に開店したホールフーズのブライアントパーク店です。
住宅街立地のホールフーズ店舗では、充実した惣菜の購入と共に店内飲食やインスタカートなどを使ったデリバリーも行われます。
しかしマンハッタンの中心街であるロックフェラーセンターやタイムズスクエアに隣接するブライアントパーク店ではちょっと違います。
朝食に便利な入り口横のコーナーNews Agencyでは、素早く入ってコーヒー紅茶や朝食メニューを購入して出られる様にし、2階ではホットフード、サンドイッチ等をキオスク式のタッチスクリーンで注文して出来上がるまで買い物を出来るフードホールが併設されています。
本格的なシーフードを提供するバーも付いたHarborバーやピザコーナー、寿司バーなどのレストランも広く取られています。
ここでは食品食材を買う事に加えて、イートインが充実しています。
そして近年ニューヨーク周辺で一層充実して来ているのがフードホールです。
フードコートとフードホールの決定的な違いは、ナショナルチェーンのファーストフードが入りハンバーガーやチキン、ピザの店が入るフードコートに対して、ローカルの人気店やその地域のレストランや小さなチェーンを集めた飲食施設がフードホールと呼ばれ、ニューヨークでは屋外型もあるアーバンスペースやイータリー等がその原型です。
言い方を変えると、全米の誰でも知ってる馴染みのマクドナルドやKFC等の外食店が入るフードコートと、地域ならではの人気店や隠れた名店が入っているのがフードホールです。
最近のSNSを使った検索では、フードホールにも相当の観光客が集まって大いに賑わっている状態です。
今年のニューヨークは大きな商業施設が相次いで開業します。
アメリカでは商業施設だけでなく、住宅施設やビルの開業や入居もグランドオープンではなく多くの場合出来上がったたところから開業していきます。
①、間もなくニューヨークからハドソン川を渡ったニュージャージー州側に、10年以上の工事期間を掛けて開発してきたアメリカ東海岸地域最大の全天候型複合施設「アメリカンドリーム」が開業し、この中には「ドリームジャパン」と呼ばれるジャパン・フードホール(約300坪弱)も建築中です。
地域にはフットボールのスタジアムがあり、施設内には屋内スキー場、アイススケート場、全天候型ウォーターパーク等があり、ショッピングに加えスポーツとエンターテイメントをメインにホテルも併設され週末の3日間を家族で過ごせる程の内容を持つのが「アメリカン・ドリーム」です。
②、もう一つの複合施設は既に部分開業していますが、ニューヨーク市内で一番ホットで自由の女神も見られるブルックリン地区です。
地域は広大で、元々商業港で工場・倉庫が立ち並ぶインダストリアルシティーの一角に、階上をオフィスとして1階部分を商業使用するいくつかの商業施設や大規模小売業が既に開業しています。
その一角には日本酒を造り酒蔵が出来ています。
日本で修行をしたアメリカ人によるニューヨーク初の日本酒工場となりました。
この一角にはジャパンビレッジと名付け、1階は日本食フードと食品店とし、2階はフードに限定しない日本の文化を発信するブースを置くジャパンタウンを建築中です。
これは住友不動産販売ニューヨークがエクスクルーシブとして扱っており、6月に東京で説明会を予定しています。
これら商業施設は現在建築中であり、テナントも募集中であることから興味深い視察が出来ると想像します。
夏から秋までに、これらの最新店を含めてすべて廻る、ワシントン~ニューヨークの視察勉強会を立案しています。
ご興味のある方は下城までご連絡下さい。
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