下城NYニュース、02-'24(運輸業界24年問題)

働き方改革から発展して、運輸業界や運転手さん、建設関連の職人さんなどが中心になった24年(25年)問題というニュースを多く拝見しています。

国が違うと生活習慣も仕組みも違うので、同様の比較は出来ないしこういう仕組みを短期間には構築出来ませんが、アメリカで行われているドライバーに対するケアの事を紹介します。

ここでは主に陸上輸送の事について紹介します。

アメリカの大型小売業やスーパーマーケットでは、日々の店舗配送に使う車両はトラック・トレーラーを使っているのが普通です。

この写真の緑と白の車両は日本では牽引トラックと呼びますか?

運転席が付いたトレイラー部分と、その後ろには切り離し式のセミトレイラーという荷台部分に分かれています。  このUNIFIの荷台部分には冷凍機が付いています。

今日のお話は、この牽引してる部分で切り離し出来るっていうのが重要なポイントです。

2枚目の白いトラックトレイラーの写真は世界最大の小売業であるウォルマートのトレイラーですが、これは某ニュース紙面の1ページを拝借しました。

その写真の上の英語文面は、「ウォルマートでは社員プログラムを受ける事でドライバーの年収は$11万ドルになります」という意味です。

トラック運転手さんの年棒が11万ドル!、なのですね。

そしてこの下の写真は日本のニュースをお借りしましたが、ここで使われているトラックは切り離しが出来ない大型トラック(の様)です。

実は切り離し出来る当地のトレイラーはサイズも大きく長い、しかし小回りが効くのです。

この「切り離しがポイント」

とはどういう事かというと、写真が小さいですがこれは大型スーパーチェーンのショップライトの店舗裏側ですが、トライラーは店舗裏側に設置するドックに商品満載の荷台トレイラーをドン付けして、荷下ろしは店舗スタッフに任せてそれを置いていくのです。 

翌日、次の発注で満載になったトレイラーを配送センターから牽引して来て、トラックは隣の空いているドックにトレイラーをドン付けして、その帰りには前日置いていき荷下ろしして空になったトレイラーを引っ張って戻っていきます。

という事はトラック運転手は荷下ろし待ちの時間は不要で、荷下ろしの作業も不要です。

ドライバーは運転だけをして配送センターと店舗を往復します。

このスーパーや大型小売業の裏側部分というのは、私の視察に参加した方はほとんど皆さんご覧になった事と思います。

もう一枚、もっと分かりやすい近景の写真があり、ペプシは多分荷下ろしをしています。

下の写真は大型スーパーのウェグマンズの裏側です。

トレイラーは常温に加えて冷凍も冷蔵温度帯の車両もあって、切り離して置いていっても温度管理は大丈夫なのです。 このウェグマンズではドックが左右に3台分ずつ6カ所あり、その他に大小のトレイラーや小型のトラックが付けられるデッキが6台分程あります。

到着した配送トラックは待つ事無くデッキやドックに付け、置いていくか荷下ろしを始められます。

右と左にドックがあって、その間にはこの様に数台が任意の場所に止められるデッキがあり荷下ろし作業も置いていく事も可能という事です。

1日掛けてトレイラーから店内へ品出しも出来、又、バックルームにストックも出来ます。

こうする事で、ドライバーの仕事は指示の通りに店舗または経由地へトレイラーを運び置いていく事になり、運転以外の無駄な時間を省く事が出来ます。


トレイラーの頭の部分をよく見ると運転席の後ろには箱になった部分が付いた車両もあります。 この箱(部屋)が付いていないのは(1枚目のUNFI)主に短距離輸送に使われ、中距離移動以上の場合多くは運転席後ろにスリーパーと呼ばれる部屋がありベッドが付いていて、中にはベッドだけでなく冷蔵庫やレンジ、トイレとシャワー付きもありキャンピングカーの様になっている場合もあります。

一例ですが運転席の後ろはこんな風に2段ベッドが付き、この例ではレンジと冷蔵庫が付いていて、必要に応じて軽食をとったり車内で寝られる様になっています。

6畳の広さだとほとんどキャンピングカー並みの装備で生活出来そうです。

スリーパー部分もこの様に4畳半〜6畳位の広さがあると小さなシャワーとトイレが付き、ホテルに泊まらずに快適な長距離運転が可能になります。

街中ではこういう大型トレイラーはあまり見ませんが、周辺や郊外の高速道路はこれがどんどん走ります。

完全な自動車社会であるアメリカと日本を同様比較は出来ませんが、アメリカでも労働者不足は日本と同様なので、その為に取られる対策は仕事の環境を整備する事と共に、給与を含むワーカーへのケア対応です。

運転の場合、連続就業時間は法律で決まっていて、時間管理は昔の様なインチキ可能なタコグラフではなく、GPSが付いています。

地方に出ると高速の出口付近にトラックターミナルが集まり、その一角にトラック用(又は乗用車と共用)のサービスステーションがあり勿論ガソリンスタンドが付きます。

そこにこのトレーラーを止めて給油をして休憩も取れ、車内で十分な睡眠も取れます。


高速の出口にほぼ面して巨大な駐車場付きのサービスエリアにコンビニ店というよりモールに近く、複数のレストランやファーストフード店、シャワー、コインランドリーが付き、歯医者や診療所付きもあります。  何と言ってもこの巨大なトラックでは通常のストアやモールや診療所へ行き難いですから。

こういうトラックストップという種類の給油所は大きなチェーンになっていて、全米スケールで幾つか大手があります。

その横や周辺には沢山のトラックターミナルや配送センターが並び、修理工場や洗車場もあり共存共栄しています。

以下の写真は、中央の巨大な長方形が配送施設の建物で、その周辺にはびっしりトレイラー(荷台の部分だけ)が付いています。

トレイラー用ではない乗用車(+キャンパー等も)が使う給油所も巨大で、ほとんどアミューズメントになったものもあります。 テキサス発のバッキーズなど良い例です。

セルフですがガソリンのポンプが100〜120台ほど並び、同時に100台以上が急する事が可能で、この店内はコンビニ店というより遊技場感覚です。 

さて、トラックドライバーさん達の給与とかはどうなっているのでしょう。

大陸横断のルートを走ると、多くのトレイラーにドライバー募集の看板が出ています。

例えばこの看板は1マイルあたり=58¢との事、長距離の場合トラックでも時速70マイルくらいで走るので、10時間(休憩入れると11時間?)走って700マイル、その時に$406支払われます。 交代ドライバーと組むと1日に1500マイル(2400キロ)走行等も可能です。

700マイルとして、週に6日働くと$2400、となるわけです。

その次の写真は週給$2500+となっているので、手取りは似た様なものでしょう。

月給で言えば約$1万稼げるわけで、これを現在の円ドル為替(150円)で考えたらダメで、物価を考慮すると$1=100円感覚であり、それでも月収は100万円です。

これからして、トラックドライバーの仕事は走らせる事で、荷下ろしや待ち時間に費やすのは最低限じゃなければいけない事が分かります。

重要な事は、このシステムに必要なコストは全て顧客へのチャージになり、「現状を考慮すると上げられない」というのはナンセンスという事です。

フェデックスや航空会社など日本でも同じだと思いますが、燃料価格や保険料、費やす時間が想定以上に掛かれば料金に追加燃料やらのアッド料金が付くか料金値上げ対応です。

ドライバーが雇えない、辞めていく、良いドライバーが集まらないが為に企業の目的を達成されないなら、全て企業の社会的責任を果たせていないわけで、その為には値上げもして企業とスタッフを守る方が基本です。

今月のコロナがあって、私も毎月アマゾン通販で買い物し、回数がもう分からない程です、でも年会費の支払いは覚えてます、現在は年間$150以上です。 物価が上がればどんどん上げて、企業を守りスタッフを守って企業運営を続けます。

結果として、昨今の長距離ルートを実際に走ると、アマゾンとウォルマート、輸送会社のUPS等のトラックが一番多いだろうと思われます。

色々なトラックが走ってますが、トレイラーでは3両連結もあり、一人のドライバーが3車両=3つの違う行き先を引っ張る事もあります。 1台の最大積載量は30トン程度なので、アメリカのこのトラックは最大だと90トン引っ張る場合もあるという事です。

連結のトラックでは個別の配送はせず、拠点どうしを繋いで走り、拠点で次のトラックに引き継ぎます。

建材などの配送でよく見るのは、フォークリフト付きです。

ユニックなどだと下ろす事は出来ても建物に搬入出来ず、建築の現場ではこのフォーク付きの配送トラックが必需品になり、その分頻繁に見掛けます。

話しが逸れましたが、給料の話しでした。

ウォルマートのドライバーというのは、業界の人の話しでは一番雇用制限や規則、適性検査が厳しく、ドライバーとして入社出来る人はごく僅かしか居ないそうです。

運転に関して苦情を受ける様なドライバーは採用時に出来るだけ避けなければいけません。

過去の運転歴は勿論、ドラッグ検査や適性検査に合格したプロ中のプロしか雇わない、その代わり給与は業界トップの年収$11万=1000万円以上と言いましょうか、高給です。


それ以外では、ここに発表されたニュースがあります。

これで見ると全米平均値で$62,482で、これは先程と同じ様に感覚として年収入が620万円と考えましょう。

但し、日本では信じ難い高額の健康保険料は会社負担で、年間休暇などを入れるとこの年収は悪くないと考えます。

小さい文字で書かれているのは、初任給では$48000程、ベテランになると$89000程と大きな差があり、本人のやる気次第では収入が上がる事になります。

更には労働組合に入って一定期間が過ぎたトラックドライバーでは、年収が$17万にもなり得ます。 $1=150計算は意味ありませんが、100円で計算しても羨ましい額です。


先ずはドライバーに無駄な時間を使わせない手段を考え、最低でも今日本のシステムで常識的に行われている(とニュースで聞く)無給かそれに近い運転手の待ち時間や積み下ろし作業の時間を減らさなければいけません。

配達先が留守の為に無料で再配達とはとんでもない事をやっている、それが当然のサービスと思う方が異常に思えます。

トレイラー切り離しのシステムが出来ないならば、最低でもポッド(=コンテナ)を作ってトレイラーの中に入れられるポッドの出し入れだけで積み下ろしが終わるなど、効率を考えなければいけません。

要するに労働生産性ですが、ニュースを読む限り日本ではその分野は相当低いとしか考えられません。

ぜひ当地で行われている生の状況を視察なさって下さい。


下城NYニュースでは、今回の内容に沿った視察研究が出来る様、ニューヨークと接続するフィラデルフィア、ワシントン、ボストンなどを組み込んだ研修や視察プログラムを用意しております。

昨年来次々と開店した首都ワシントンのウェグマンズ、デラウエア州のウェグマンズと立て続けに小型の店を開店し、コロナ後に起きた作戦変更の様子が見られ、更には23年10月にはウェグマンズのマンハッタン街中店が開店しました。  これ実はまだ完成に至っておらず、店内飲食のスペースや手洗いも完備していませんが、次々と新しい事を仕掛けているのも事実です。

コロナや戦争その他で起きたインフレの影響もあって、この2−3年間で一番出店している食品店チェーンがディスカウント系のチェーンです。

ニューヨークの郊外で、アルディ、リドル、グロサリー・アウトレット等その店舗を一気に視察する事ができます。

滞在期間や日程はご相談に応じます。

詳細は下城までお問い合わせ下さい。

By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城NYC■ 2/27/’24

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