ニューヨークは今、6月30日(NYの食品店状況アップデート)
ニューヨークの食品スーパー状況アップデート 6-‘20
ニューヨークでは3月01日に最初のコロナ感染者1名が発生し、それ以後ニューヨーカーの生活は完全に変わってしまいました。
写真はニューヨークで患者が出る直前の2月29日のトランプ大統領記者会見で、「コロナの死者が出たけれどパニックになる必要はない」という発表をしています。
3月07日にニューヨーク州のコロナ感染者総数が89人になった時点で緊急事態宣言を発出、08日から全公立学校を閉校としそれに合わせてそれまでの各家庭の生活パターンを変更する事となりました。 この時点でアメリカ全体の感染者総数は380人と19人の死者でした。
大統領による全米緊急事態宣言はそれより後の3月13日の事でした。
3月16日にクオモ知事が出したレストランの閉店令ではテイクアウトだけが許可され、この日を境に州民の外出も制限され、20日にはニューヨーク州全体のステイ@ホーム令が発出されました。
というのも、この日のコロナ感染者総数は1300人以上、死者総数は12人で、各々過去数日の数字を30~70%以上の増加が続いていたからです。 その後ももちろん増え続け全米最高のコロナ感染都市となっていきました。
エッセンシャルビジネスである、医療機関全般、ドラッグストア、食品小売店・スーパーマーケット、食品の生産から販売店までに関連するビジネス全般、生活必需品・日用雑貨品の販売店、金融機関、郵便局、輸送関連全般など、は営業開店が許可され、従事者は通勤の為の地下鉄やバスの利用が認められました。
エッセンシャルと認められる業種以外のオフィスワーカーは全員リモートワークを指示され、エッセンシャルの買い物と通院等の用事以外は制限され、それ以外での外出は健康の為の単独での外出等だけが許可されました。
各州では州知事がコロナ対策の責任者となり対応や行動をリードし、ニューヨーク州では距離も近く隣接するニュージャージー州、コネチカット州と共同した対応を取る事と決め一番人口もビジネスも多いニューヨーク州のクオモ知事が中心になり感染対策をリードしました。
アメリカのコロナ対策の基本は、不要の外出をしない事(ステイホーム)、外出する場合はソシアル・ディスタンスで6フィート(約1.8M)の距離をとる事、帰ってきたら手洗いとうがい、咳やくしゃみは腕でカバーしなさい(後にマスクをしなさいに変わった)、と言われました。
現在ニューヨーク州とこの周辺はコロナ感染において全米でもトップクラスの安全な地域になっていて、感染が再拡大中の他州(約35州で再拡大中)からの感染者流入やNYのルールを無視する人に対して注意を払っています。 感染率が特に高い州からの人に対しては14日間の自主検疫を求めています。 その対象州は8州だったものの現在では16州と倍増。 同様の理由で、7月06日に予定されていたレストランでの店内飲食許可は延期となりました。
スーパーマーケットに関していえば、一番はじめにはコロナ感染者発生直後の3月02日頃から、消毒用品やトイレットペーパー、水等の買占めが始まり、3月10日頃から次々と販売方法に関するルールが課され対応に終われました。
規制はどんどん厳しくなっていきレストランの店内飲食が禁止となった事で、多くのスーパー内に設置されているイートインコーナーも使用中止となりました。
ステイホームが出た時に各食品マーケットで最初にやった事は、買い物カゴとカートの手持ち部分を消毒する事と、入り口で店員がお客の手を消毒する事、そして出口にはサニタイザーを設置する事でした。 後に入り口には自由に使えるサニタイザーを置き、店内各所にもサニタイザーを置く様になりました。
そしてソシアルディスタンスを取るということで、店内で必ず並んでしまうレジの列にマークをつけて他の客との距離をとる事をお願いし、同じ事が通常込み合うデリや生肉鮮魚の対面販売コーナーで取られました。 しかし買い物客数はむしろ増えている事で距離は保てず、その結果入店客数の制限をする事になりました。 これは売り場面積当りの客数上限を決めて、店内を空いた状態する為に入り口の外に入店する客が並ぶ事になりました。
店内のお客の流れをスムーズにする為、一方通行通路にしてお客同士がすれ違わない売場も作られました。
又、スーパーのスタッフに感染者が発生した事から、レジでお客とスタッフの距離を離す事が出来ない事の対応策としてレジには透明のパーティションを設置し、ディスタンスが取れない場合でも近距離での会話にならない様になりました。 店舗スタッフ側は全員マスクとグローブ着用が義務となりました。
4月末頃からは州の法律でスーパーマーケットを含む公衆においてはマスク着用が義務化されよく守られている様。
スーパーの商品の品切れ状態は、基本は製造側と中間の倉庫で商品在庫が十分だった為に、その理由は買い占めなのですが、相乗効果から多くの食品・日用雑貨品に品切れが出て、それを求めて客は早朝から並ぶ事になりました。
スーパーマーケットで扱う多くの食品や日用雑貨品はストックがありましたが、買占めが起こっての店頭での品不足がほとんどでした。 実際にコロナ前の需要から一気に増えたサニタイザーやアルコール消毒液、使い捨てグローブ、また実生活ではほとんど使っていなかったマスクは完全な品不足状態になりました。 写真はウェグマンズの紙製品売場、ローカル店の卵売場で一人一個の個数制限が付いた。
コロナ感染のピーク時に当たる4月~5月の間(4月15日前後が感染ピークとされる)、主に食肉工場(ミートパッカー)で作業員に感染者が続出し全米各地の大小の食肉加工場が操業停止となりました。 時を同じくして、食品倉庫でもコロナ感染者が続出、加えてトラックドライバーにも感染者が出たり体調不良を理由に休みを取るスタッフや運転手が多出して、食品倉庫が満杯になるものの輸送が間に合わない状態が起こりました。
食品スーパーでは特に精肉に関して品不足が起こり、売切れ状態や販売個数制限などが行われました。
同時に店舗内の清掃と消毒を徹底させる目的もあり、営業時間の短縮が推奨され、多くの高齢者やコロナに対して比較的危険度が高い病気を持ったお客への対応が必要になりました。 多くの店で曜日や早朝など時間を決めて、店内消毒終了直後にシニアと限定客の為の買い物時間を設定するに至りました。
スーパーマーケットだけでなくエッセンシャルワーカーの多くは負担の掛かる仕事を強いられた為、多くのチェーンでは時給のアップやボーナスを支給しました。 一部は州政府などからもその為の予算が支払われました。
これらの事は短時間に動いていった為に、行われた順番は各店舗で出来る事からやっていった状況でした。
その買い物の不便さを解消する為に一気に加速したのが有料のデリバリーとピックアップサービスです。
これはここ数年多くのスーパーで採用してきたサービスで、お客側にも店側にもこれに移行する土壌は出来ていました。 特にNY市内ではどの店もいつも大混雑である事から、プレミアム(料金)を支払ってでもデリバリーという傾向があります。 おそらくこれで一番対応が早かったのはアマゾンの傘下であるホールフーズで、ニューヨークでは全店舗が対応したのは勿論、街中型でイートインスペースが広い(使用出来ない)ブライアントパーク店を、通常のお客を受け入れない臨時のデリバリー専用店舗に仕立ててしまいました。 これをダークストアと呼び、ニューヨークの店舗で言えば店頭にデリバリー用の自転車と荷車がずらっと並んで配達の順番待ちをしています。
ここまでで食品マーケットがコロナ対策としてやってきたのは:
1、店舗の消毒徹底と、入り口でスタッフによる買い物カゴやカートの消毒と、店内各所への消毒用ジェルの配置。
2、ソシアルディスタンスを確保する為の距離を図るマークの設置、レジに仕切りを設置、入店客数制限開始。
3、店内飲食用のスペースを閉鎖し、接客販売中止、サラダバーの中止、高齢者など専用の買い物時間の設定。
4、州政府令により、店舗スタッフ全員のマスクとグローブ着用を徹底し、営業中でも定期的に店内の消毒。
5、州政府令により、プラスチックのレジ袋使用を禁止し有料紙袋に変更したものの、その有料化を中止し、多くの店舗で無料紙袋を採用、これにより衛生上問題が有得る、自前のエコバッグ使用を抑えた。
6、トイレットペーパーやボトル水、消毒関連商品、洗剤など売切れが発出し、販売個数制限を設定等の対応。
7、アプリ(一部はインスタカート)を使ったデリバリーと店頭ピックアップに力を入れる。
NY市内と周辺のスーパーマーケットを例に挙げると:
*トレーダージョーズでは、ほぼ常に客数が多く店頭に入店の列が出来ている。 一部の衛生用商品は品切れが続き個数制限も続いている様。
*ホールフーズの多くの店舗はデリバリーに注力していて、どの店でも買い物客に混ざってデリバリー商品を集めるスタッフが動いている。 特徴的なセルフのサラダバーは無く、プリパッケージにされた同商品が並んでいる。
*ウェグマンズは週末や時間帯によっては30分以上の入店待ちとなり、その分店内は比較的空いていて自由に買い物が出来る、ただしレジ前は距離を確保して並んでいる様。 現時点で店内飲食コーナーは使われておらず、デリバリーの準備スペースになっている店舗もある。 また最新ニュースでは、制限解除後もフルサービスのPUB等は再開を控えるとの事。 6月に開店予定であったハリソン店は工事が遅れた事その他の理由で開店日を延期している。
*ウォルマートは店舗サイズが大きく買い物サイズも大きい事もあり絶対的な固定客がいて入店待ちを覚悟で来店している模様。 多くの場合長い列が出ている事と未だに買い物点数はいつも以上に多きい様に見受けられる。
*アルディは大衆層で大漁に買い物する客が多い午後や週末に列が出来ているものの、コロナを機にインスタカートと契約しデリバリーも始めている。 ただ客層はセービングを求める層なので、料金が掛かるデリバリーが多くはない模様。
そして6月末の現在、コロナ感染患者数で言えばアメリカが全世界のトップではありますが、ニューヨークは世界で一番感染拡大から減少させた都市となりました。
1日の死者が800人という日がありましたが現在は10人程度です。
毎日のPCR検査数は5万〜7万人で陽性者率は1%前後であり、その莫大なデータと証拠によってNY州民は今何をしなければいけないのかが分かります。
何を解放し、どのビジネスや施設を再開していいのか正確に判断出来、結果として他都市がつまずいているレストランの店内飲食に関してNY市では予定を遅らせ未だに店内に入れる事を許可していません。
東京も同じ間違いを起こしましたね。
コロナ感染縮小策に関して言えば、夜の繁華街、昼の繁華街(カラオケ)、人が集まる機会が出来る場所を作る事は特に避けなきゃいけない事、というのがデータで判断出来ています。
トランプ大統領も公言した通り、全米でも特に共和党系の各都市で早期に街をビジネスを再開させましたが、殆どことごとくコロナが再発し再閉鎖か再開をホールドしています。
以下の地図の35の州で感染が拡大か再拡大しており、これはまだまだコロナの第一波という事が言えます。 第二波の話しが出てますが、それは第一波が収束してからの秋以降なのでまだまだです。
かくして、ヨーロッパは感染の第一波が収まり旅行者の入国を再開しましたが、アメリカはニューヨーク以外の多くの都市がコロナ対応に失敗し感染拡大しているので、ヨーロッパとの旅行解放に至っておりません。
日本のコロナ対策に関して、再開を急いだ為にアメリカの多くの都市の様な失敗にならない事を願うばかりです。
ニューヨークに関しては現時点で全米で一番安全な都市になっている事から、先週のクオモ知事の他州・他地域からの越境者は2週間の自主検疫を要求するに至っております。
7/01/‘20、 コーディネーター、チャーリー下城近雄NYC■CS
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