下城NYニュース、10-'22(ショップライト)

ニューヨーク・グルメの一斉を風靡したフェアウェイが倒産したのはコロナ禍が始まる直前の2020年1月の事、コロナが原因の倒産ではなくあと数ヶ月持ち堪えていたら倒産しなかったかも知れません。

今回はそのフェアウェイが閉店し、本店以下フェアウェイとして数店舗を引き継いだショップライトが、由緒あるフェアウェイの名前を下ろしてショップライトとして10月09日に再開店したニューヨーク郊外のペルハムマナー店を中心に紹介します。

フェアウェイの本店はマンハッタンのウエストサイドにあり、ニューヨークへお越しになった方の多くがこの店を訪問や視察された事と思います。

私も食品業界のみならず、小売業に関わる多くの方と同行しご紹介して参りました。

八百屋の卸業から始まったビジネスで小売りも始め、80年代に折からのグルメブームに乗り一気に人気が上がり、ハーレムの一角にあった倉庫も駐車場付きのグルメ店として、多くのレストランのシェフやまとめ買いのお客を集めニューヨーク・グルメのトップ5に数えられたものでした。

このショップライトがフェアウィだった時の写真も残っています。 実は沢山ありますが、お客先が一緒に入ってるものが多く、これだけ載せておきます。

フェアウェイ本店の写真ですが、週末に行くと、年末のアメ横状態の時がありました。

この食品に関わる業界は常に厳しく、エッセンシャルである事から売上げは大きいですが各店がしのぎを削り利益を残すのはなかなか大変なもの、頻繁に合併や分裂倒産も耳にします。

つい先週も大きな合併のニュースが入りました。

スーパーマーケット業界でトップのクローガーが業界第2位のアルバートソンを傘下に入れるというニュースが先週発表され大騒ぎです。

業界トップのクローガーはコロナが始まると真っ先に現行店舗をダークストアにするなど実行力が強く素早い企業です。

「ウォルマートが業界第1位じゃないの?」という方もおられる思うし、一部の当地の報道でも「2位のクローガーと4位のアルバートソン」という書き方も見られます。

ウォルマートはスーパーマーケットと競合するネイバーフットマーケットという違う業態を持っていて、先端技術の実験などもしています。

ここは業界をハッキリと分けたいと思います。

その場合の1位はウォルマートを意味しますが、ウォルマートは総合小売業(GMS)でありスーパーマーケットではありません。 元々は雑貨屋から始まり生活必需品の全てが揃う店です。

又、3位にはコストコが入ってますが、これもスーパーではなく会員式倉庫販売クラブ店であり、購入するものはスーパーマーケットと一部重複しますがむしろ生活必需品全般で買い物動機とサイズが違い、それらは「スーパーマーケット」と言えば間違えです。


オハイオ州に本社があるクローガーはSM(スーパーマーケット)業界で全米トップ、2800店舗、年商$138ビリオン、

アイダホ州に本社があるアルバートソンは2位で2200店舗、$72ビリオンの企業です。

共に本拠地がアメリカ内陸部で一部の展開範囲は重複しますが、主な展開エリアはずれていて、合併するとトータル5000店舗になりウォルマートを越える事になります。

実はニューヨークにおいてこの2強スーパーは共にメインのブランドが無く、傘下のブランドだけですがそれもチラホラしか見られず、本格展開は出来ません。

なのでニューヨークでこの2つのスーパーを視察したという方は居ないはずです。

両社の傘下ブランドとしては、各リージョンで展開しているSMを傘下に入れてチェーン名を継続で展開を進めるので、親会社の名前はあまり出ません。 

食品チェーンや外食においては、全米平均では受けている事をそのままやろうとしても、

ニューヨークではなかなか受け入れられないという証拠だと理解しております。

$1ビリオンは今の日本円だと1450~1500億円ほどになる。

巨大な2社なので傘下の企業が各地で競合する事になってしまいますが、

例えばシカゴではクローガー傘下のマリアーノと、アルバートソンのジュエル・オスコが兄弟で競合してしまい、どんな変化をもたらすか興味深いです。

ワシントンでも同様に、ハリスティーターとセーフウェイが兄弟で競合します。


とまあこの業界は合併も傘下入りも倒産も日常茶飯事ですが、今回はショップライトのお話しを続けます。

ニュージャージー州に本社があるボランタリーチェーンで、ニューヨークを含む周辺の5−6州でのみ展開し、現在300店舗を超えています。

ボランタリーチェーンは各店舗にオーナーが居て自由な裁量で店作りをし展開、好きな様に運営出来、商品仕入れに関しては強力な店舗網を使ったグループの価格と品揃えを使え、更には独自の商品も自由に仕入れて販売出来ます。 それがフランチャイスとは違うところです。

ある店ではユダヤ系のオーナーがそのエスニック系の商品を扱いユダヤ食品の認証であるコッシャーの商品を扱っていたりし、そこでは認証を発行できる僧侶をスタッフとして雇っていました。 自由自在にユダヤ認証が店内で行えるという事になりますか。

ユダヤ商品のコーナーです。

日本国内では、ユダヤ認証とかハラル認証(イスラム教)食品に手を出さない方が良いです、メデイアに踊らされて手を出すと想定しない結果の方が多いです。

これを考えるべきは輸出食品で、海外を考えた場合はオーガニック認証、グルテンフリー認証、コッシャー認証等が非常に重要になります。


ペルハムマナーはニューヨーク市内ブロンクス地区(治安に問題ありと言われる)の隣ですが、川を渡ったこちら側なので高級住宅街も控えていてフェアウェイの高級志向のグルメストアが活躍していた立地です。 

グルメ食品、店内調理の高級惣菜、ケータリング等も人気ありました。

親会社は正確にはショップライトではなくWakefern というホールディング会社で、その中にVillage Marketというスーパーマーケット部門があって、そこがショップライトの店舗を50店以上運営しています。 

Village Marketはショップライトの店舗運営と共にショップライトブランドのPB商品を作り、それを含めた商品をホールセールしています。 全米の食品店に卸している食品と商品の卸会社である事から、扱い品目は通常のスーパーの域を大きく超える扱い品目数と量があります。

ビレッジマーケットはフェアウェイも数店舗名前を残して運営しており知名度もあるので、ショップライトの店内でフェアウェイPB商品も扱われます。 コーヒーなどがそれです。

ショップライトは売れるものを売れる様に、どんな事でもしてでも稼ぎ出す企業です。

店内の花売り場はスーパーとしては充実していますが、フェアウェイの時はこの2−3倍はあったかと。

定評があったインストアベーカリーは全くダメです、通常のインストアベーカリーになってしまいました。

チーズやデリーも同様で、それでもサービスカウンターがありレベルは保たれていますがせっかくのグルメ店の店内造作とスキルを持ったスタッフは居ないのかも知れません。

さすがにバラ売りのオリーブの品揃えは見事です、以前はこのオリーブもみんな手づかみで試食していたものでした。

アメリカのスーパーは日本のイオンやヨーカドー等と扱い品目が違い、アパレル関連や電気製品は基本的にありません。

しかし扱い品目が自由に出来るショップライトでは、春にはエアコン(アメリカで未だに窓用)が売られたり今週はテレビのセール販売(50インチが$269.)がありました。

ガムやキャラメル売り場のスーパー店内では、通常のスーパーではほとんど見ない商品です。

扱い商品はブロンクスが近い事もあり、中南米系を対象とした商品も扱われます。

ニューヨーク州では酒販法の制限でスーパーではビールまでのお酒しか扱えませんので、その品揃えを非常に広くし、クラフトビールコーナーも作ってアトラクティブにしています。

アプリを使ったデリバリーとピックアップは当然行われており、この新店舗はまだですがショップライトでは24時間のピックアップロッカーを駐車場に設置する店もあります。

冷凍コンテナのボックスを改造したものの様です。

アプリでオーダーを入れロッカーでのピックアップを指定して支払いまですると、交換(受取り)用のコードを貰ってそれをこのATM機で入力して受け取ります。 

冷蔵品も冷凍品も24時間受取り可能です。

商品の納入する状態を見る事ができました。

これは店舗の駐車場の一角で、道路に面し夜中でも危険が少ない様に配慮されている様です。


このショップライトもピンからキリまであって巨大な売り場と在庫の店もあり、先に述べた様なエスニックを得意とする店もあります。

日本にもボランタリーチェーンがあると思いますが、ニュージャージー州など中心に自由裁量で運営出来るという興味深いスーパーになっています。

どんどん変化しているアメリカの食品小売業ですが、コロナの変化に負けない程、毎月の様に新店舗が出来変化しハイテク化しています。

今月はウェグマンズの最新型で、デラウエア州の新規開店のモールの中で小型店が開店します。(ワシントンとニューヨークの中間地点です)

このウェグマンズ、数週間前にはワシントンに街中型の小型店を開店したばかりですが、コロナによって消費者の買い物同行が変わりそれに合わせてどんどん変わって行く企業です。

最新型は店頭にEVの充電器が設置されていました。 来週開店します。


下城NYニュースではニューヨークと接続するフィラデルフィア、ワシントン、ボストンなどを組み込んだ研修や視察プログラムを用意しております。

滞在期間や日程はご相談に応じます。

詳細は下城までお問い合わせ下さい。

By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城NYC■ 10/20/2022

https://ny-news.amebaownd.com/


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SHIMOJO NEW YORK NEWS

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