下城NYニュース、08-'23(Erewhon日本由来のマクロビ店)

マクロビクスといえば日本発の自然食中心のダイエット、の様に理解しています。

アメリカではマクロバイオティクスと発音する事が多いですが、日本ではマクロビオティクスといって、日本式の短縮4文字だと通称「マクロビ」でしょうか。

今日は皆さんの想像と相当掛け離れると思いますが、マクロビ店を紹介します。

この写真を見ると健康ダイエット店というよりホールフーズ等を連想するかも知れません。

店頭外観はこんなで、歩道にベンチが並び20席以上でお茶を飲んだりランチをしたり。

空はちょっとしか写ってませんが、これはカリフォルニアの青い空、

この店舗はロサンジェルスのちょっと外側、約10店舗チェーンのエァウォン最新店です。

お店の前の歩道上をもう少しお見せしますと、電話か通信のアクセスボックスは綺麗なペイントが施されて植え込みの手入れも始まったところでした。

除草剤撒いて雑草を枯らしてついでに街路樹も枯らしちゃう何処かの会社と正反対。


私はマクロビや健康食品ダイエットが専門ではないし、この分野は色々な研究や解釈があるので皆さんのご理解や身の回りの出来事と一致するかは分かりません。

しかし、日本から始まった

「大地から生まれる最良のものを食べる事で最良の身体を造る事が出来る」

というマクロバイオティクスの信条からこのビジネスと店舗が始まりました。


マクロビの日本発祥の考え方を、1950年代にNYに移住してアメリカで最初にマクロバイオティックとして紹介して広めたのが久司道夫氏(くしみちお)です。

1966年には奥さんのアベリンさんと共にボストンで創業、エァウォン・ナチュラルフーズ社(卸売)と共に、このマーケット(小売店)等数社を興したとされています。

マクロビを広める為の活動や執筆出版も数多く、味噌や醤油を含むオーガニックの自然食品を全米へ卸売りし、そして最初にボストンの郊外で開いたアメリカ初の自然食品専門店は10坪ほどの半地下の店だったそうです。 後に全米に広がる健康食品店ブームの始まりであり、ベンチマークにもなったのです。

久司夫妻は国連の賞を受賞し、ワシントンのスミソニアン博物館には永久保存されている文献もあります。

エァウォンとは全く別の店ですが、ニューヨークにはその当時に影響を受けた人が開店した自然食品マーケットが、現在でもあり盛業中です。

ここから2010年頃までの50年間の話しは実際には興味深いのですが非常に長い、なので少し早送りします。

ご興味のある方はお知らせ下さい。


60年代当時のアメリカの栄養学界では、

「マクロビの考えを使った健康の向上と病気の治療も出来る」

という主張とは全く違う考えが主流であって、マクロビの考えには反発が多く、久志夫妻の健康志向を広げたい考えと小売りのビジネスには、強く受け入れられないものがありました。 

当地での主流の考えとは、戦勝後のアメリカですから、栄養をたくさん摂って強く大きくなる事が健康の第一歩、世界一裕福で大国になる事がヨシとされていたものです。

電化製品は大型化で自動化し、大きな家に大きなキッチンと食糧貯蔵庫(パントリー)、お風呂場は3つか4つあるのが当たり前、乗る車はキャデラックやリンカーンで、巨大なクルーザーの様なものでした。

かくして、エァウォンはボストン店を残したまま、1966年久司夫妻はロサンジェルス地区へ進出、ここでも健康食を広める為の最初の店を開店させました。


しかし我々が本物の健康食はマクロビも含むオーガニックの食品自体や食事の習慣にあると気が付くのは、まだまだ先の80年代になってからの事です。

テキサス州発のホールフーズやニューヨークのフェアウェイ以下、沢山のオーガニック商品を扱う食品店が展開を始め、アメリカ中で過去の不健康な食習慣にも気が付き始めたわけです。


2011年、創業以来の久司氏の健康志向に対する考え方と共に、このビジネスは新しいオーナー「トニーとジョセフィン・アントッチ夫妻」へと引き継がれていきました。

彼らが最初にやった事は、新店舗を高級住宅街で知られるビバリーヒルズに移したのです。

それまでの、どちらかというと質素な食習慣であった健康食の概念を、現地の人にも受け入れられ易い健康で美味しい、見た目も彩り良く、最上級の食品、そして最上級のグルメ食品店として作り変えていきました。

メディアを使い有名人やモデルを起用して、今でいうバエる食事と店に、トレンディーに仕立ていきました。

今夏開店した最新のカルバーシティー店の内装は、金も掛かっていますがブティックの様です。 花売り場はディスプレイの様にも見えます。

カルバーシティーはサンタモニカやビバリーヒルズにも近い裕福な若い人に人気の地域で、このロケーションだからこそ商品価格はあまり気にしないで買い物をする層が多いのです。

チェーン網の9店舗を見ると、その当該店の立地もそうですが周辺エリアがまさしくそういう人が居る。 これは商品力やコンセプト作りと共に、出店戦略勝ちと言えます。


店舗自体が約1300平米と小さなマーケットなので、売り場の通路は狭く作られていますがそれも理由があって、狭く高くデザインされています。

家賃が高い為に床面積を効率よく使う事は勿論ですが、狭い通路で他のお客とすれ違ったりする不便さ、そして高い棚の上の商品は届かないのでスタッフを呼ぶ、これは店内でのコミュニケーションに繋がる事になり、スタッフ達はその対応が出来る様に教育されています。

ワインはよく選別されていて、オーガニックとナチュラルな素材だけから作られたワインに拘り、不純なものが使われていない信用がおける商品だけを扱います。

ワインの棚は通常は4−5段に作られますがここでは6段積みです。

ヘルス&ウェルネスの売り場はPB商品も充実、液体ハンドソープが$20だと、普通のスーパーじゃ売れません。

売り場はほぼ全て電子棚札になっていて、狭い売り場で扱い品目が細かく、当然棚札も細かく並んでいます。

トートバッグは$50−$80、お店の名入りでこの価格は、一時のディーン&デルーカより高い、トレンディーでなければあり得ません。

コロナ以降どこのスーパーでもセルフレジを付けますが、ここは全部フルサービスレジでスタッフが笑顔で対応します。

値段の事は気にしません、コーヒーは$4.50 だったかな、サンドイッチやスムージもトライしました、概して値段は他店の2倍ですが、コスパなんて言葉すらありません。


全ては立地戦略、そしてマーケティングが命であるというのが分かるチェーンです。


下城NYニュースではニューヨークと接続するフィラデルフィア、ワシントン、ボストンなどを組み込んだ研修や視察プログラムを用意しております。

昨年来次々と開店した首都ワシントンのウェグマンズ、デラウエア州のウェグマンズと立て続けに小型の店を開店し、コロナによる作戦変更の様子が見られます。

更には23年の早々にワシントンの南側郊外のバージニアでも小型店を開店し、明白に店作りに反映させているウェグマンズで目が離せません。


昨今のインフレの影響もあって、この2−3年間で一番出店しているのがディスカウント系のチェーンです。

ニューヨークの郊外で、アルディ、リドル、グロサリー・アウトレット等その店舗を一気に視察する事ができます。


滞在期間や日程はご相談に応じます。

詳細は下城までお問い合わせ下さい。

By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城NYC■ 8/06/’23

https://ny-news.amebaownd.com/

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