下城NYニュース、10-'24(全米最後のK−マート閉店)

アメリカの小売業には流行る店も栄える店もある反面、倒産や閉業していく店もあります。

これ、きっと日本でも同じ事が起きていると思います。

アメリカの場合はその分野で世界最大の企業が幾つもあって、それらが消えていく場面もあります。

世界一の航空会社PAN AM=パンアメリカン航空などもそうですが、レストランやアイスクリームショップとしてのハワード・ジョンソン、アイスクリームといえばファーレルも消滅しました、Radio Shack、Compaq、Toys R Us(アメリカ本体)等、ご記憶と思います。 

GM=ゼネラル・モータースもそうです、ただ世界最大の自動車製造会社のGMを潰してはいけないという配慮で、時の大統領オバマさんが政府救済を掛けて生き延びる事ができました。


今日は総合小売業(GMS)の業界で一世を風靡して、ウォルマートよりも大きかったK-Martというチェーンが消えていく状況をお伝えします。

私が渡米した1980年頃では、GMS(当時はディスカウント・デパートメントと呼んだ)としてKマートは業界のキングで競合するチェーンを撃ち落してそこに看板を付け替えて出店する程の勢いでした、 その頃のウォルマートは、まだ業界の小僧っ子扱いでした。

小売業界の視察や研修でアメリカにいらした方の多くは、以前この業界で最大だった頃のKマートも視察された事と思います。


写真(1枚目)は今週(10月20日)最後のフルサイズのKマートとして残っていたニューヨーク郊外の店舗です。

その下は写真(2−3枚目)は、1980年代にまだ業界でトップクラスであった頃には全米の店舗数は2500店舗を超え、現在のターゲットをも凌ぐGMSの雄者であった頃もあり、その当時の大型業態Kマート店のスーパーセンターとビッグKと呼ばれた店舗の外観です。

親会社はシアーズ・ローバックで、Kマートが先に倒産したシアーズの傘下に入った事が倒産理由の一つかもしれません。

実際にはニューヨークのこのKマートが閉店した後、コンビニサイズのKマートがそのままの名前で1店舗だけフロリダ州に残ります。  でもこれはもうGMSではない、名前だけがKmartとして残った形になってしまう様です。

閉店の直前ですが、一世を風靡したKマートに敬意を表して最後の買い物に行ってみました。

ところがそこに残っていたのはもう既に相当の在庫を整理してしまった売れ残りになっていました。  

店内什器も売りに出ています。

在庫の商品はほぼ50−85%引き、なのですが欲しいものが何とも見当たらない。

夏の裏庭用のガーデン家具、もうこの時期は何処へ行っても50%引きやってるし、今ここで買う気にならないのでしょう、いっぱい山積みで残ってました。

選択肢が非常に少ない収納用のコンテナ、欲しい物もあるのですがサイズが違うので残念。


Kマートは業績が下がった時に、同業界のシアーズの傘下に入って2社のグループではGMS業界でターゲットを抜いて2位になった時もありました。

シアーズが得意とする白箱の家電製品やガーデン用品、機械工具も扱った事で息を吹き返した様に見えたのは短期間でした。

この店内在庫にもそれが沢山あり50%引き、なのですが商品仕入れはもう出来ないので在庫処分品は旧型で売れないのでしょう。

きっと閉店直前に「持ってけ泥棒」状態になって、その時に残っている多くの在庫品は翌日にはバッタ屋の店頭に並ぶという想像が出来ます。

これは売れますね、BBQのコンロ(こっちではストーブという)の中で一流品であるWEBERのBBQガスコンロ、50%引きです。

雪かき用のショベル、これはまだ売れるかな、でも買いたいと思えない種類です。

在庫処分の商品をお見せしてもしょうがない、レジはどうなっているかというと、

レジの係がいるのは1台か2台で、元々お客も少ないから良いのですが、もう虫の息状態になっていました。

電動車椅子や什器も売りに出てます。

勿論今売るものはファイナルと言って返品受け付けしませんという条件です。

この様に、世界に君臨したGMSのチェーンであるKマートは幕を引いていきます。

1899年にKresgeさんによって中西部のミシガン州で創業された雑貨屋さんですが、氏がセールスマンとして営業回っていたGMSの元祖と言われるウールワースを見て、後年に自身のお店を始めたわけです。

ウールワースは最近までトレンドの様に思われていた小売マーケット内に作るレストランの先駆けをやっていて、Kマートは勿論、ウォルマートもターゲットも現在似た様な事をやっています。

1980年代までにアメリカにいらした方はこのウールワースの視察や買い物もなさった事でしょう。

この店内で食事という事は、今でいうファミレス食事の走りになったかも知れません。

ウールワースが全盛の頃、1913年にはマンハッタンのダウンタウンに世界一ののっぽビルを建て、ウールワース・ビルはこの名前で現在でも残っています。

緑色のとんがり屋根、ワートレビルやシティーホールのすぐ近くです。

アメリカの小売業には倒産や閉業していく店もあり、流行る店も栄える店もあるのです。

その流行る店、栄える店の最新情報を揃えてあります。

ぜひこの秋と冬の間にニューヨークの視察と研修をなさって下さい。

ワシントン〜ニューヨーク、又はボストンなど、割安の視察ルートをご用意してあります。


ニューヨークの郊外ではまさしくコロナ後を見据えた業態であるアルディ、リドル、グロサリー・アウトレット等その店舗を一気に視察する事ができます。

滞在期間や日程はご相談に応じます。

詳細は下城までお問い合わせ下さい。

By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城NYC■ 10/15/’24

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