下城NYニュース 5-'19

令和の時代となりました。

皆様にとって、この時代が引続き平和で素晴らしい活躍が出来るものと願っております。

3月15日に開業したニューヨークで最新で最大の商業施設は5月に入っても未だに工事中ではありますが、立ち寄るたびに新らしい部分が完成しております。

私の興味の対象は、この施設内のどのレストランがどんな事をしてくれるのか。 

そしてモール内で唯一の食品店であるグルメストアーのシタレラは、今までのシタレラと何か違った事をしているか等です。

この施設はまだまだフルに完成しておりませんが、色々な仕組みが見えてまいりました。

そしてもう一つ、今週ニューヨーク初のアマゾンGOがダウンタウンに開店しました。

ハドソンヤードのモールは、正式には「The Shops & Restaurants at the HUDSON YARDS」と呼びますが、現地の人もこれをハドソンヤーズと呼びその場合主にモールを指している様です。

加えて、まだ部分的に工事中ではありますが、この施設内にはアートの音楽のビル「The Shed」シェッドがあります。

それ以外はオフィスビルとアパートビル又はそれらの複合で、我々が通常目的地としては行かない部分と思われます。

モール内には沢山の飲食店があり、著名シェフでは、トーマス・ケラー氏が経営する高級レストランTAKルームとカジュアルカフェのBouchon Bakeryを開店、ケラー氏はニューヨークで最高級のレストランPer SeやFrench Laundry 等を経営してる事でも有名です。

又、大御所ダニー・マイヤー氏は日本にも進出しているハンバーガー店Shake Shackをモール内に開店、更に隣接するアートセンタービル内のカフェ・セドリックも開業しました。

スペイン料理のホセ・アンドレ氏はこの施設最大のレストラン・フードホールを地階に開店、これはLittle Spainと名付けスペイン村の食堂街として大小のレストランが入り、タパスコーナー、パエリアの専門店、複数のスイーツ店、複数のバー等が揃っています。 

ラーメン・バーから始まりモモフクのチェーンを展開するデービッド・チャンは、韓国風ファインダイニングのKawiに加え隣にはコンビニフード店のPeach Martを、更にはダウンタウンで絶好調のチキンサンドイッチ店FUKUもイートインスペース付きで開店させました。

マイケル・ロモナコのステーキを中心としたセミカジュアル、カリフォルニア・ステーキハウスのデルカンポは敢えてドライエージングのビーフではなく、「バターエイジング」のステーキを持って来ています。

バターのコストは高いはずですが、通常ドライエージングでカットする表面のロス部分のほとんどはバター熟成では使える利点があります。

これらはこの施設内で評判のレストランのごく一部であり、ここを廻るとまだまだ「語るものも食べるものも」尽きる事がありません。

そして今号ではモールの2階に開業したシタレラを徹底解剖してみます。

ここでは高級食品店等と訳さずにグルメストアと呼んで良いでしょう。

巷には幾らでもある安いだけで変化のないスーパーマーケットや食品店では、世界中から人が集まってくるニューヨークでは消費者に飽きられてしまうので、今回はシタレラが今まで出店してきた高級住宅街とは全く違う商圏に入った事で、ここでやるべき事を実践しています。

この店舗では付近にニューヨークでもトップクラスの高価格アパートもある事で、ワインショップを併設しています。

ニューヨーク州の酒販法では、ビール以上の(アルコール度数の)酒類は食品店やコンビニ店では扱えず、ハードリカーのライセンスを持つ酒屋さんで扱う事になっています。  言い換えるとビールのみは食品店やコンビニ店等で購入出来る事となっています。

従ってこのシタレラでは、シタレラグルメ店の隣に別店舗の形でシタレラのリカーショップを開きました。

あくまでも高級感溢れる店作りでありながら、在庫もセレクションも非常に豊富に揃っています。

シタレラに限りませんが、ニューヨークの家賃は非常に高いので、狭い店内で稼ぎ出せる売上げには限度が出てきます。 

そこで多くの食品店は同じ家賃の中でどうやって儲けるのか、ランチやディナーのピーク時をいかに効率的に回せるかを考え、ピーク前の朝も7時かそれ以前に開店し朝食需要の売上げを上げています。 

そしてこのグルメストアはランチのピークをどう回して、ディナーの需要をどうするか、又、その間のアイドルタイムのスナックに何をするかという事でアイデアを絞ります。

ここでは店舗前のモールの通路にテーブル席を作り、店の前だけでなく通路に沿って仕切りを作って100席以上のエリアを用意しスタッフも配置しました。

夕食需要では、日本でいうところのデパ地下の要素を持ったプリパッケージの惣菜を多数用意し、夕方の仕事帰りや買い物帰りの客用にReady To Heat(温めるだけ)のコーナーを用意しています。

ニューヨークで鮮度が一番と言われる魚売り場

更に加えて力を入れているのがケータリングで、この場合のケータリングは家庭単位のパーティー等だけでなく付近の企業へのアプローチで、ミーティング時の軽食やランチメニューは勿論の事、多くの企業が採用している早い時間にスタッフ用の朝食の提供を提案しています。

多くの会社の開始時間が9時であっても、スタッフは8:50分ではなく多くの場合7:00から7:30頃には出勤し、ランチ室や会議室に用意されたこのケータリングの朝食を食べコーヒーを飲みながら仕事の準備を始め、会社が始業する9時にはもうフル回転で動くわけです。

写真はシタレラではないですが、こんなデリバリーが街中で見られます。

それにしてもこんなやる気は何処から生まれるのでしょう? 

ニューヨークのこの周辺の住宅費は1~2LDK(1~2寝室+2浴室)でも月額$5~6000、程度が当り前ですから多くの人達はそれが払える様に年収で日本円でいうと1500~2000万円かそれ以上稼がなければならず、当然効率良く会社の為に働くし、ましてや共稼ぎの世帯も非常に多いのです。 その位にしてまで働かないと、この街では安全に快適に便利に住めないという事で、SNYニュース3月号で住宅事情に関して少々書かせて頂いております。

そういう客層がこのグルメストアやモール内のターゲットになっているから、当然高級志向に偏ってくるのでしょう。

付近のレストランやデリー店、グルメ店などはこれらのケータリング契約を取る事で、月曜から金曜の毎朝、月間で約20日間例えばコーヒー・紅茶等のドリンクを混ぜて、ベーグルにクリームチーズかバターを塗り、またはエッグサラダやツナサラダをを添えて、マフィンにクロワッサンにドーナツも加えて50人前などの発注になるのです。 

しかもその売上を同じ家賃で、現在あるキッチンで、店の外で稼ぎ出す事が出来るのです。

多くのシタレラ店舗は勿論各店舗でケータリングをします。  ケータリングは多くの場合店舗で用意しデリバリーに出ますが、8店舗のチェーンを持つシタレラではブロンクスにセントラルキッチンを持っており店内で使う素材や食品加工の一部やパーティー用のケータリングはそちらで準備される様です。  ケータリングは高効率で売上を伸ばせる事から、多くのレストラン(特にファーストカジュアルの商品等に人気)やグルメストアがこれに参入しています。

ケータリングに似ている事ですがデリバーリーも同様で、こちらはアプリを使ってのオーダーとデリバリーに加え、お客によるピックアップも非常に多く見られます。 アプリで支払いもしておき、待たずにランチを受取れる仕組みです。 

ニューヨークではピーク時の店内は非常時こむ事から、特にランチではテイクアウトが多く見られます。

そして、デリバリーは夜にも残業スタッフ用の需要が相当あり、こちらは客単価が大きいです。

多くのオフィスの職場では、例えば夜7時以降まで働くスタッフに対して会社が夕食を準備(予算上限$30、等)する事が多く、その時間になる前にアプリで発注しておくと時間に仕事場に届くのです。

ここで皆さんの疑問質問にお答えすると、多くのこれらの食事代は会社持ちでありワーカーの仕事に対するインセンティブです。 もっと言えば、夜10時までなど残業で一定の時間を越すとスタッフの安全確保の意味もあり、退社時に契約のハイヤーが用意されています。

このシタレラのロケーションではオフィス街とショッピング街という要素が強く、売れる食材その物は限定的と想像出来、店売りだけでなく「Personal Shopping」と呼ぶお客から注文されたものを全て揃えておくサービスや、「Local Delivery」という限定地域内の配達サービスも行っており店内の在庫商品が動く仕組みを作っています。 実際にここ数年、これらのサービスはニューヨークと周辺地域の多くの食品スーパーやグルメショップで行っているものです。

加えて、店内のフレッシュ食品の多くは店内調理で使うべくシェフとクック(調理人)を雇い、各売り場でロスを最小にする方法が取られています。 これは昨今のグロサラントでは何処でも行われている事で、その分野ではホールフーズやウェグマンズが特に力を入れています。

ニューヨークでは多くの食品関連や客数が多いドラッグストア等で、一列レジ(フォーク型レジともいう)が採用されています。

レジの手前でお客は一列に並びますが、このシタレラの場合10台のレジが待ち受けていて空いたレジに列の先頭から分かれて進みます。


そして今回もう一つの話題は、5月08日(火曜)の突然のニュースがニューヨーク初の「アマゾンGO」が開店したという事です。

昨年の夏以前からニューヨークへの進出というニュースがあり、少しずつそれがダウンタウンであるとか路面店ではなくモール内とか発表され、小売店である事から開店は間近だろう言われましたが、ここ暫く音沙汰がなくなり心配しておりました。 

ニューヨークではどんな店であれ開店日の通告はほとんどされないのですが、その理由は工事の遅れは日常茶飯事である事に加え、開店前の検査時に何かが見付かりその分をやり直しせよと言うのも多く、そもそも検査日を予約してあってもすっぽかされる事が度々あるのです。

実はこの数ヶ月の間、アマゾンGOだけの問題ではなくキャッシュレス支払いオンリーのビジネスに対して全米各地で問題が提起されておりました。 

移民が多いアメリカでは、クレジットカードや事前に金額を入れておかないと使えないデビットカード等を持てない人も多く、そういう人に対する差別である、というのがその理由です。

アマゾンGOの店舗に入り買い物をする為には、事前に自身のスマホに「Amazon GO専用アプリ」を入れておく必要があり、更に支払い情報としてクレジットカードやアップルペイなどの支払い方法まで登録する必要があります。 そのセットアップでお客は商品を棚から取り出しそのまま立ち去っても買い物の精算が可能になるわけです。

登録されたアプリを開くと下の様な画面が現れ、店舗入り口のゲートでアプリの二次元コードを読ませるとゲートが開き入店出来ます。

入店する時のほんの1秒程で、おそらくアプリにてその客の登録が済んでいて支払いカードも登録され使える常態になっている事が確認され、ゲートを開くというシステムと想像します。

私が訪店した時はまだ開店直後だったので店はこんでいましたが、私も数品目の買い物をし袋に詰めて、同じゲートから出る時に再度アプリのコードを読ませると支払いはほんの1秒以内に完了してゲートが開いたらもう終わりでした。

例えばランチ時のどの店もこんでいる時間帯であっても、アマゾンGOには沢山のランチパックやサラダやサンドイッチにスシパックが並び、ドリンク、スナック等がどんどん補充されずらっと並びます。

店舗右側の壁一面がランチのコーナーで、奥行きの約15mにびっしり詰まっておりました。

扱い品目はほとんどがランチ、スナック、ドリンク、そしてそれに関連する主に食品で、全てプリパッケージか単品の商品でバーコードが付いています。

扱い品目を良く見ると、地元の人気ベーカリーのパンなども並びアマゾン傘下であるホールフーズのPB商品等も並ぶ品揃えです。 

このロケーションはビジネス街であり観光地でもありますが、アメリカンエキスプレスなど金融関連のオフィスが集まるファイナンシャルエリアでもあるので、多くのオフィスは社員食堂があると想像します。

社員食堂があってもスタッフは仕事場から離れたい場合もあり、アマゾンGOと同じフロアのフードホール等に食事と休憩に出てきます。

そのフードホールのランチタイムはニューヨークで一番大混雑するランチスポットであり、ピーク時の長い列は尋常ではありません。

アマゾンGOのランチパック(お弁当)コーナーを見ると(当然ですが)まさにそこの人気商品と同じものが並んでおりました。

そして今だけかは分かりませんが、それらの商品の価格が高くない、むしろ安いのは意外な事でした。

一度アマゾンGOに買い物に来て様子が分かってしまえば、売り場にも慣れ買うものが分かって来ますので、お客はゲートから入って商品を選んで出るまでおそらく1分程で済む様に思われます。

これはキャッシュレスだから成し得るものであり、上記で触れたキャッシュレスのみという精算方法が違法だと言う場合は、それを解決する何かが必要になります。 

まだ開店したばかりですので、引き続きこれがどう進むか大変楽しみでもあります。 写真を載せておきます。

試しにこんな買い物をしてみました。

オレンジ色のエコバッグは$1、程度で通常売られていますが、それより少し小さめではありますがしっかり作られたもので、今回これは無料でした。

買ったボトル水はアマゾン傘下のホールフーズの750cc入りPB商品で、59¢というのは非常に割安な価格でした。

ブルックリンの人気ベーカリー「Bien Cuit」のクロワッサンは通常の店舗価格($3.50)より割安の$2.75で売られ、その他でもローカルの商品を扱っている事が分かります。

数分後にはアマゾンGOのアプリにレシートが送られ、買い物明細、入店時刻、滞店時間、支払いに使用したカード番号などが送られてきました。


ニューヨークでは毎月の様に新らしい商業施設が開業し小売店が開店します、そしてそこには新らしいシステムが投入されます。  是非この視察研修プログラムで最新情報をキャッチし、アメリカの優良企業を目の当たりに接し体験なさって下さい。  社員教育とか社員に投資と言う言葉を聞きますが、これこそが社員が求める生の教育です。

こんな研修を行う事によって愛社精神と人間力を培いこの業界をリードするトップになって頂ける事、又、参加されるスタッフさんの感動を引出す事は間違いありません。

ご興味のある方は下城までご連絡下さい。     

チャーリー下城NYC■ 5/12/'19

SHIMOJO NEW YORK NEWS

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