下城NYニュース、09-'24(ホールフーズの街中型、Daily Shop開店)

まだコロナ中だった約2年前に発表され、待ちに待ったホールフーズの新コンセプトの店舗が開店しました。

その名もデイリー・ショップ(Daily Shop)で、アメリカでは当たり前の買い物習慣である週に一度のまとめ買いに加えて、まとめ買いがしにくい都市部では日々に必要になる食材や朝ごはん用のコーヒーとサンドイッチやペストリーなど、コンビニ店ではカバー出来ない商品やホールフーズならではの商品が扱われます。

この買い物習慣や生活パターンは日本の多くの都市部にも共通するものです。

店頭に足場のパイプが見えてますが、これはビル自体の外壁工事の為のもので店舗自体は完成して営業しています。

アッパーイーストの三番街の角で、このビルは元トランププラザと名付けられた高価格のアパートビルで、この角は高級スーパーであったフードエンポリアムがあり閉店した跡地です。

広さは感覚として平均的7−イレブン店舗の2−3店分と言いましょうか。 

数値でいうと、ホールフーズの通常店が4−5千平米である事に対して、同店では1千平米以下ですが、その狭い面積を如何に有効使用するかを優先に作られた店と感じます。

本場アメリカの7−イレブンを筆頭とするコンビニ店の基本的考え方は、

1に車社会の郊外や地方の給油所に併設する店という歴史から始まった為、

2に扱い商品や店作りにおいてもシンプルに給油のついでにする買い物であり

結果として、日本のコンビニがスーパーの代わりになり得る店で買い物客に行き届いている

のとは全くあり方も顧客側の考えも違うものなのです。

ホールフーズからの報道では、都市部の消費者にとって必要な買い物が出来るコンビニ代わりになる街中型の新コンセプトで、同型の店舗をマンハッタン内で5−6店舗開店させ、同様に他都市でも展開する為の第一店舗目となるとの事です。

しかし正確にはコロナ前の2019年にはマンハッタンのチェルシー地区7番街の店舗の隣接にデイリーショップのパイロット店が出来ており、小さな買い物と朝食・ランチ等に便利な店として実験をしていました。

私と共にその実験店へ視察に行かれた方も多かったはずです。

コロナで店舗への入店制限などが始まった2020年初旬にその店舗は閉店している事から、正確にはデイリーショップの最初の店というのはおかしいかなと思っています。

そのチェルシーに開店したデイリーショップの原型を証拠付けに載せておきます。

この店は同じビル内にあるニューヨーク最初のホールフーズ(1998年開店)が古くて小さかった為に、それをカバーする意味でも重要なパイロットで2019年4月開店でした。

着席カウンターでコーヒーバーがあり朝食向きのペストリーとパンが揃っています。

原型店は今週開店したデイリーショップよりも更に小さく、しかし朝食や軽食とドリンク、小さな買い物には都合がよく、セルフチェックが殆どという清算方法も当時では斬新でした。


そして新店舗のデイリーショップですが、こちらも店内入り口すぐにコーヒーコーナーがあり、紅茶にスムージー、パンとペストリー、スープとデザートなども扱われ、レジもそこで完結出来ます。

又その横にはスタンド式ではありますがイートインコーナーがあります。

実はこのスタンド式はトリッキーで、テイクアウト需要が多ければ心配は無用ですが、実際には好まれない様に思います。 最低でも私はこういうの嫌いです。

店内で買い物もしてみましたが、勿論フルサイズ店で買い物をしている者にとっては物足りない感はあるものの、お客が主に求めるものはほぼ全て網羅されている様に思えました。

そこのところがアマゾンが親会社であってビッグデータの大元である事の強みだと思いますが、このエリアのホールフーズにおける消費者の購買データを活用して買い物指向と売れ筋商品を選択し、当然アマゾン・フレッシュを通してのデリバリー需要などを考慮したMDとなっている事は明白です。


ニューヨークの中心に当たるマンハッタン地区(完全な島)の中に13店舗のホールフーズがあり、このデイリーショップが開店して14番目となりました。

マンハッタン区内の店舗配置は以下の地図の通りで、真ん中の長方形(薄いグレー色)はセントラルパークでその辺りから北側(上)は主に住宅地、パークの南側(下)は人口もあるけどオフィス街も観光地もある様なミックスのエリアです。

濃い青の3店舗がデイリーショップで、薄い紫は通常のホールフーズ大型店です。

今回オープンしたのはセントラルパークの右側です。

見た通り、すぐ南に大型店があり徒歩10分以内、北側は15分程度でしょう。

大きな買い物は勿論大型店に行くか今ではデリバーリーで購入し、日々の買い物やフルーツ、乳製品、朝ごはんにはこのデイリーショップがむしろ使い易いと言う事になります。

南北に約20キロ強の長さで東西の幅が4キロ弱という島ですが、このデイリーショップが3店舗出来、更に3店舗のデイリーショップが加わると非常に配置の良い店舗配分になりそうです。

地図を見ると分かると思いますが、カバーされていない部分も幾つかあり、そこにはホールフーズという高級志向で健康志向の商品を求める客層が居ないのかも知れません。

しかし地図上の一番北側のホールフーズはハーレムで、以前は言わずと知れた(怖い)町であった頃もあったエリアです。

後で触れますが、小型店のコンセプトでは小さなユニットでキッチンも置かないのなら、厳しい排煙装置の設置義務が不要となり工事期間は短縮、家賃、シェフや専門職の高人件費その他の固定費等がぐっと小さく展開出来るのです。

但し、コロナ後の今全米の小売業が直面している店内外での犯罪にも配慮する必要があり、ニューヨークだけでなく危険な地域での出店には大きなリスクがありそれを避けなければいけません。 ホールフーズもアップルストアも百貨店のノードストロームも、GMSのターゲットもあのウォルマートでさえも、犯罪多発が理由で閉店を余儀なくされた経緯があります。

そうなった場合の店舗展開は、マンハッタンだけでなくニューヨーク市内全体に広げられ、このアイデアで全米の多くの都市や今まで出せなかったエリアや大学のキャンパス内などにも展開が可能になります。


フルサイズの店舗では精肉・鮮魚はサービスカウンターで、ハムソー、チーズなどのデリーコーナー、惣菜コーナー+ホットとコールドのサラダバー、クラフトチーズもフローリストも接販となっています。

フルサイズ店も色々ありますが、大型店はこんな感じです。

https://ny-news.amebaownd.com/posts/21940337


ホールフーズの一部の店舗ではアマゾンのダッシュカートが導入されています。

https://ny-news.amebaownd.com/posts/40958422

勿論、都市部の繁華街以外の店舗では駐車場がつき、店頭ではガーデン商品が並びます。

大型店の店内は以下のように広々です。

方や、街中型の小型店という新コンセプトでは、それらの殆どの商品が売られていますがSKUを最低限に抑えて、精肉鮮魚、チーズを中心に真空パックや個別包装の商品が並んでいます。

ランチにも向く様な調理サンドイッチも並んでいます。

開店直後のこのデイリーショップでまだ情報は限定なのですが、ホールフーズの常であるインストアベーカリーや店内調理された商品がない、ベンダーを使ったインストアの寿司もない事から、同店にはキッチンは無くコーヒ−バーだけが店内調理したものの様に思います。

通常であれば付近の大型店からベークや惣菜など一部商品を配送するなど十分可能ですが、さすがのアマゾンでは素早く次の手が打たれている様です。

同店には焼き立てのパンやペストリーがありサンドイッチやスシがあり、今人気のフライドチキンやエンパナーダ等を扱っていて、報道では市内のクイーンズ地区にデイリーショップの展開を目論んだセントラルキッチン(マイクローキッチンと呼ぶ)を作ったそう、これで毎日一度か場合によっては複数回ホットでフレッシュの商品を配送出来る事になります。

クイーンズ地区は川を挟んだ反対側で、道路が空いていれば同店から約15分の近場です。


レジは基本がセルフレジであり、アマゾンの手のひら認証ペイメント(Amazon One)での支払いが出来、通常レジも2台備えてあります。

このデイリーショップというご近所でちょっと買い物というコンビニ使いにする場合、散歩やジョギング帰りの買い物もあり得ますが、お財布も携帯電話も不要で買い物が出来るこの便利さは、使い始めると非常に便利な事を実感します。(事前登録が必要です)


このデイリーショップの開店と展開、更にはアマゾンGOとフレッシュの次なるニュースが出ています。  アマゾンはホールフーズ店も含めて拠点の拡大が非常に重要で、アマゾン通販のラストマイル拠点になり返品の受付スポットにもなるわけです。

この次は何をやってくれるのか、この秋も目が離せない状態になっています。


アマゾンはこのホールフーズを含めて、ニューヨーク市内と郊外では次々と新業態や新店舗を開店再開しており、実際には店内改装とMDの軌道修正をした新生=V−2のアマゾンフレッシュ店舗は既に開店しています。

それにも増して、まだまだ深い事をアマゾンは考えていて、このホールフーズでも新業態のブランド店舗がニューヨーク市内マンハッタン住宅街に開店、その2号店も着工でこれはタイムズスクエアにも近い劇場街、

TEST & LEARNと呼んで体験して学習する事で失敗は恐れないアマゾンという企業の今後の変化が非常に楽しみでもあります。


ニューヨークの郊外ではまさしくコロナ後を見据えた業態であるアルディ、リドル、グロサリー・アウトレット等その店舗を一気に視察する事ができます。

滞在期間や日程はご相談に応じます。

詳細は下城までお問い合わせ下さい。

By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城NYC■ 9/19/’24

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