下城NYニュース、03-'25(アメリカン・ドリーム、モール)

ニューヨークの中心から約20分の距離にある、屋内型のエンタメ系で尚且つスポーツテーマのモールを紹介します。

巨大なモールで、全米最大のモール・オブ・アメリカに次ぐ広さ、売り場面積は約28万平米で駐車は33,000台可能という全米二番目のサイズです。

更なるスポーツ・エンターテイメント系のテナントと複数のホテルが現在工事中で、この床面積が50%以上広がる事になる様です。

*日本最大の埼玉県にあるイオンレイクタウンは、広さ約24万5千平米と駐車は1万台強。

発表では、この総工費は$5ビリオン(=約7500億円か)

写真でも一部見えているのは観覧車、インドアのウォーターパーク、スキーのスロープ、アイススケートリンク、そしてニケロディオンのテーマパークです。

写真で見えていませんが隣接にはNY Jetsと NY Giantsのホームフットボール球場メットライフ・スタジアムや、メドーランズ競馬場等があります。

最終的には「アメリカン・ドリーム」という名称で2019年10月に第1期部分を開業しましたが、開発時には正式名称としてキサナドゥー(Xanadu=当地ではザナドゥか)と名付けられていて、どこからそんな名前が来たのか不思議でした。

長い期間に亘って、キサナドゥーは間もなく開業しますと宣伝し、途中からは現在のアメリカン・ドリームと変更し宣伝ていたので、この名前をお聞き及びの方も居られると思います。

大型商業施設の建築はスーパーやGMS(ウォルマート等)でも長い期間を要しますが、今回は特に異例で30年以上前の1994年に原案プランが上がり、10年掛かって2004年に着工し2019年のコロナ直前開業という事で約25年間の工期が掛かりました。

こんな大きな商業施設が出来ると聞きつけた我々は、その後に外郭だけが出来たものの全く進展が見えない巨大で怪しげな建物らしきものを、完成するのかどうかも分からず長い間高速道路から眺めていました。

(写真は2011年頃の工事中断中のものです)


工事期間が長くなった理由には、

第一に、全米最大級という巨大で稀な構想である為に、エンタメ系とスポーツ系関連で沢山の隣接での開発構想が浮かび上がり、その度に政府側でも地元住民側でも検討会や公聴会が開かれながら進めた事でした。 

アメリカの多くの地域で、地元に影響があるビジネス等が出店申請すると地域住民の意見を聞く公聴会が開かれます。 *ニューヨーク市にウォルマートが1店舗も出店しないのは地元民の公聴会で落とされる事が理由の一つです。

同地域にはフットボール球場があり、ゲームやイベントの度に付近が大渋滞する事と、特にスポーツ開催時に集まるファンの異常な行動や多発する犯罪には大きな懸念が付き纏います。


第二に、おそらく最大の理由ですが2009年に起きたリーマンショックによって資金元でもあったリーマン・ブラザースが倒産した事で長期間の工事の停止があり、その後も何度もの物件譲渡や資金問題と法律に絡む問題で、遅れに遅れての完成・開業となったわけです。

しかしご承知の通り2019年の開業から間もない2020年3月には、世界を取り巻くコロナ発生によって同モールを含めて全米ほとんどのショッピングセンターの一斉臨時閉店となり、約半年の開店休業となりました。(全米殆どの地域で同じ措置となりました)


これらの理由とその他諸々もあって、当初入居予定であったパワフルなテナントもキャンセルしたり、入居し開店したテナントの多くも撤退する事が起き、2025年3月の現時点ではテナント総数450店以上の中で、入居と開業している店舗数は50%程度の様です。

日本では屋内型モールにGMSやスーパーマーケットがキーテナントとして入る商業施設が好調と聞きますが、アメリカではそれは20年以上前の事で、現在は違う事が起きています。

ではアメリカのモールで脚光を浴びているのは何か、屋外型なのです。

近年アメリカでは屋内型のモールのほとんどが非常に苦戦しており、2001年9−11の同時多発テロよりも以前に計画されたこの屋内型モールは、昨今の消費者の動向は分かり得なかったし、100年に一度のパンデミックも勿論計算外でありました。

実際にはこの大きな計画を途中の段階で変更する必要があったものの、その様に行かずに工事が続行された結果がこのモールの現状でもあります。

アメリカンドリームの売り場の地図とディレクトリーは以下を参照下さい。

https://www.americandream.com/directory/entertainment

https://www.americandream.com/map

この広いモール28万平米の面積のうち、約70%がエンタメ系であり残りの30%がリテイル系のスペースになっていて、当初予定であった55%vs45%からエンタメ系のスペースが大きく広がっています。(従来モールの中心である小売店は縮小という事)

モールはメインの通路が一本あり、ゾーンが5つに分かれエリアによって3−4フロアになっています。

左右には専門店テナントと共にキーテナントが入る通常の屋内モールに共通ではありますが、キーテナントには教科書通りにサックス・フィフスアベニュー等百貨店もあり、高級百貨店周辺のテナントはティファニー、エルメス、ルイヴィトンなどが並びます。

しかしここではそれだけではなく、庶民も沢山集めたいエンタメ系モールである事から、ザラやユニクロなどと韓国系のスーパーマーケットチェーンが入り、その他エンタメ系とスポーツテーマの大型テナントやボウリング場、劇場型シネコン、プレイスポットと飲食系が占めています。

東海岸側の屋内モールでは珍しいスーパーマーケットがキーテナントに入りますが、昨今のアジア流行りを反映して韓国系マーケットが入り、寿司店を含むアジア系のフードホールが隣接され、更にコカ・コーラがスポンサーのフードホール他複数のフードホールと20店以上のフルサービス型のレストラン、高級菓子(ケーキ)専門店等が入店しています。

更にワインテースティングの店やバーが入ります。

Hマートのフードホールには20店舗以上の主にファーストフード店やパンとケーキのベーカリー店等ありますが、約3000平米のこのHマートはチェーン内で一番小型店となり、日本と違ってモールに来店した客が食品店で買いもをしない事を理解しての事の様です。 

買い物主体のモールと食品を買うスーパーは来店動機が違い、アメリカの週に一度の纏め買いという買い物習慣では基本的にモールで食品は買いません。

Hマートの本体は日本でいうGMS式のスーパーマーケットで、総合食品に加えて日用雑貨品一部の小型家電品、アパレルなども扱います。 同マーケット店内で扱わない商品やサービスを扱うテナント店が隣接する場合も多く見られ、形としてはスーパーセンター型と言えます。

路面型のHマートの店内生鮮売り場をお見せします。

ニューヨークで創業し、現在の本社は韓国系住民が非常に多く住むニュージャージー州北部にあり、アメリカンドリーム周辺にもアジア系住民が多い事で有名です。

同社は全米で展開する韓国系で最大級のマーケットチェーンで、カナダやイギリスを含む約85店舗で展開します。

多くの店舗は7,000平米から10,000の大型店であり、特に生鮮食品や惣菜商品の新鮮さと品揃えに定評があります。

カリフォルニア米(中粒米中心で、一部日本産米もあり)を中心にタイ米、ジャスミン米なども扱い、価格も割安で(例えば6.8kg入りカリフォルニア産中粒米が$25.等)大量に売られています。 日本の米騒動+アメリカの卵騒動 '25の記事はこちらです。

アジア食の流行りに乗り、ほぼ全店でフードホールを付けている事でウイークデーの昼間のお客を逃さない戦略も上手に使っています。

消費者に対しては、この食品スーパーマーケット「Hマート=フードホール」、しかもアジア系の健康食という知名度もあり、アメリカンドリームに入店したものと考えられます。


アメリカ本国では倒産したトイザらスですが、全店閉店していたトイザらスはメイシーズ百貨店内に売り場を持ち、独立店も展開が始まりました。

ここではトイザらスのフラッグシップ店とキッザらス店が入り、オレオクッキーのカフェと売店やジェリービーンズショップ等も入りエンタメとリテイルの中間・ハイブリッドの店舗も多く入ります。

オリンピックサイズのスケートリンクは来場者が少なくエンタメスペースとして使われています。 スキー場は動いていましたが、3月の取材時には利用客が限定の様でした。

立派なスロープで整備も出来てる様ですが、一人も滑ってなく貸切で滑りたいと思いました。


このモールはニューヨーク市からすぐ隣のニュージャージー州のバーゲン郡部ですが、実はこのエリアには全米でも稀に見る独自の法律が残っていて適用されています。

私とニュージャージー州の視察をされた方は覚えてらっしゃるかと思います。

酒類の販売に非常に厳しく、州内のスーパーマーケットやコンビニ店でも一人の申請人が酒販免許を取れるのは2店舗までとの事です。  ウェグマンズやウォルマートなどの大型店でもニュージャージー州内では店内でお酒を売れるのは2店舗までという事です。

従って、ニュージャージー州でお酒を買う場合は、スーパーやコンビニ店ではなく酒屋さんへ行く必要があるという事です。

モール内にはその酒販免許を取ったお酒を中心・専門とするバーも出店しています。

更に、日曜日の小売業の営業にも「ブルーロー」という制限があり、食品を含むエッセンシャル(生活・健康必需品等)以外の小売業とサービスの多くは日曜日の営業が出来ません。

これは同モール内の多くのテナントも対象であり、アメリカンドリーム内のテナントにも適用されます。 

されてはいるものの、日曜日の査察が来ない事を良い事にして(?)、一部の小売業は日曜日の営業をしており、これは業界でも市民レベルでも大きな議論に発展しています。

法律を守るのは当然の事ですが、その前にこのブルーローは300年以上前に作られたクリスチャンの思想からのもので「日曜日は休息の日」からきています。 現在で言えば、小売業店舗に集まるお客の行動が騒々しく、道路混雑にも繋がっている等があります。 しかしこのモールの環境は周りに住居エリアも無い事から除外出来るのではと言う意見もあります。


そもそもアメリカには法律を守らない政治家やリーダーが居て、ロビー活動を通してこういう法律問題も解釈を変えてしまう事が頻繁にみられます。

日曜日に営業が出来ないモールに入居したい小売業は、宣伝効果を狙う大手小売業の旗艦店や一部の店舗を除いてごく少ないわけで、これが解決されるとアメリカンドリーム・モールの入居率はぐっと上がる事と想像されます。

エンタメ系のキーテナントとしてウォーターパークやニケロディオンのテーマパークがあり、コロナがほぼ収束したこれからは、ここはショッピング目的以外で1日を過ごす客が多いのも確かです。

同モールについて詳細の取材をしてあります。

ご質問や同モールの視察に関してはいつでもご連絡下さい。


下城NYニュースでは、来る4月末の連休を利用した日程の小売業視察をご用意致します。

「ニューヨーク〜ワシントンの最新小売業視察」、陸路で結んで通常見られない都市間の小売業事情を含めた特別ルートを用意しています。

日本からワシントン着、陸路移動をしながら視察を続けてニューヨークを視察して終了です。


通常の視察では見られない店舗として

全米のスーパーで最高と評される、ウェグマンズはフルサイズ店とコロナ後に展開している街中の中型店、フロリダ発のパブリックス、 2年連続で アメリカのベストマーケットに選ばれたカロライナ発のグルメストアチェーンのザ・フレッシュマーケットアマゾン・フレッシュ全米最大のスーパーマーケットチェーンであるクローガー、

コロナとインフレに起因して大いに業績と店舗数を伸ばしているボックスストアのアルディ、

勿論、大人気のスチュー・レオナード、トレーダージョーズもホールフーズも本場で本物のコストコではアメリカ式の買い物を目の当たりに出来ます。

最低催行人数はお二人からで、ルートと行程によって今回は特別価格を用意致しました。

3泊4日の日程で4人で参加の場合は1名様$1500、から

パブリックスとクローガーも回るルートは5泊6日の日程で組み込めます。

視察中の交通費と視察中の夕食一回が含まれ、日米間の交通費、宿泊費他の経費は別です。

又、エージェントさん、参加者をご紹介頂いた方には特別なお礼を用意致します。

詳細はお問い合わせ下さい。

shimojony@gmail.com  (直通メイル)

cs@shimojony.com

まで、よろしくお願いいたします。


ニューヨークの郊外ではまさしくコロナ後を見据えた業態であるアルディ、リドル、グロサリー・アウトレット等その店舗を一気に視察する事ができます。

下城NYニュースがアレンジする視察や研修は、全て下城自身が時間をかけてルートを選び資料を作ってクリエイトし、実際のアテンドまで責任を持って行います。

ニューヨークの食品小売業に関して、これ以上の最新情報はありません。

滞在期間や日程、宿泊などのアレンジはご相談に応じます。

詳細は下城までお問い合わせ下さい。

By Charlie Chikao Shimojo @NPPA

チャーリー下城NYC■ 3/25/’25

https://ny-news.amebaownd.com/

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