下城NYニュース、05-'21

下城NY・ニュース、2021年05月

日本でもニュースになった事と思いますが、アメリカでは今月前半に(07日)大きなサイバーテロがあり東海岸のパイプラインが大きな影響を受けました。

これに関してはウェブサイトの「ニューヨークは今、5月16日(サイバーテロ)」として書かれています。

今でも世界中で種々のテロが起こっていますが武器を使った攻撃や大騒動ばかりでなく、サイバーテロはいつどこで起きるか全く分からないもので、今回はアメリカ南部のテキサス州から東海岸のジョージア州を通って北上し、首都ワシントン周辺を通ってニューヨークのすぐ南側までを通る主要幹線の燃料輸送網のコンピューターが攻撃されました。

影響を受けたのはこの図の通り、東海岸の広い地域です。

私の仕事場のコンピューターが壊れても、予備のパソコンやiPadやらを使って何とかなりますが、輸送網のコンピューターが停止してしまうと、ガソリン燃料の輸送が出来なくなり商品の輸送も我々の生活や移動も出来なくなります。

そして起きたのはガソリンのパニック買いで、その広い地域の住民(おそらく全米人口の半分位)の多くが、今のうちに我が家の車全部のガソリンを満タンにしておきたい、又は暫く大丈夫な様にポリタンクやドラム缶に当座のガソリンを入れておこうっていうまとめ買いや買占めでした。 中にはそれで一儲けっていう人も居たはずです。

果たして発生から数日後にはガソリンスタンドがガス欠になり、5日後の12日にはコンピューターが復活しガソリン運搬が再開はしました。 しかし、ニュースやSNS経由で悪い噂が市民を掻き立てて10日間位はガス欠のピークも起こり長蛇の列や売り切れが続発し、2週間後の20日頃に多くの地域でガス欠問題が解消し始めました。

私はドライブでの出張が多いので、こういう場所等の情報や燃料価格を表示するアプリがあって便利に使っています。


ガス欠等給油所自体のトラブルもオレンジ色の丸で事前に分かり、私はこのノースキャロライナ州地域への出張が入っていたので細かく見ていました。 出張先の同じ地域を見ると、上が5月14日、下が5月25日の結果で価格と共にオレンジの丸がお分かりになりますか?  14日は80〜90%の給油所がオレンジ丸で、10日後の下のページでは相当復旧した状態でした。


そして今回はそのノースキャロライナの素晴らしいスーパーマーケットを紹介します。

その前にアマゾンフレッシュの首都ワシントン新店舗状況が入り、ニューヨークから南下してちょうど通り道だったので、店舗が出来る前の状態だろうとは知りながら実店舗下見で訪問してみました。

何ともう開店寸前の状態に出来上がっていて「OPEN SOON」の看板が出ていて、カート(通常型)も駐車場に並べてありました。

カートに付いているQRコードをスマホで読み取ると、アマゾンアプリが開きその日のセール情報や大きな商品や重い商品を発注してデリバリーして貰えるサイトに入れます。 アマゾンのプライムメンバー(年間会費$119)に対しては宅配デリバリーの場合ミニマム$35、で配達料は無料です。 店頭ピックアップの場合はミニマム無しで無料です。

私だったら、その日買い物に行く時間を想定して、2〜3時間前にアプリでトイレットペーパーやボトル水等の大きいものを発注してから店に買い物に行き、その大きな物を無料ピックアップでトランクに積んでしまいます。 それから店に入ってダッシュカートを使って通常の買い物をすれば、素早い上にレジレスなのでノーコンタクトで買い物が出来ます。 下のダッシュカートが並んでいる写真はシカゴの新店舗です。

アマゾンフレッシュの実店舗は昨年秋にロスの郊外で展開が始まり現在8店舗、その後シカゴ郊外で相次いで4店舗開店ですが、ニュースでは次に首都ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークと出ていたものの開店日等はなく、ニューヨーク郊外店の住所等を発表していました。 それは目くらましだった様で、アマゾンはこのワシントン郊外店の開店を今週発表し5月27日としてあります。 はい、この店舗はちょうど今頃開店になっている頃かと思います。


このアマゾン・フレッシュのダッシュカートは、コンタクトレスで買い物をする為に絶対に必要な物であり店にとってもシステムにとっても大変重要なのです。 ところが今週カリフォルニアから届いた情報では、ある店舗でシステムの上の問題があった様でダッシュカートが使えなかったという物がありました。 非常に重要なトラブルだと思います。

これはカリフォルニアで使用出来なかったカート置き場です。 アマゾンの店舗で、手書きで可愛い故障中のお知らせが新鮮で良いです。


寄り道をしましたが、ノースキャロライナ州ラーリー市の郊外です。 

Lowesと書き、これでロウズ(又はローズ)と発音しますが、皆さんにお馴染みなのは全米チェーンのホームセンターのローズ・ホームインプルーブメントの方かと思います。

共にLoweさんが創業したお店ですが、ホームセンターのローズは100年前の1921年にローズ・フーズ(以後ローズと表記します)のルーシーおばあちゃんが田舎町で開いた金物屋さんから始まります。  店舗を増やし息子のジムさんも引き込みましたが、店名だけを残して大きな資本に売却しています。

ジムさんは同じくノースキャロライナの田舎町で食品店を開き、チェーン展開を始めて、途中で何回かの企業買収や併合をして都市部へも進出してきました。 2013年に息子のティムさんが引き継ぎ、現在約80店舗のチェーンに展開していますが、基本的に店舗は南北のキャロライナ州内での展開です。

一方のホームセンターはチェーン名としてローズという創業者の名前が残っていますが一家は離れています。

話しを進めますが、ノースキャロライナ州ローリー市はニューヨーク市から約800キロ南側で、ほぼ関東地方の緯度なので天候や周りに見える木々も見慣れた関東地方の様です。

3月に開店したローズですが、今はホームセンターのローズとは関係無いものの、この店作りや商品展示を見ると関連するものを感じます。 なかなかアイデア満載の企業で、新社長に変わってから店長以下重要なスタッフを集めての合同ミーティングなどを開き、お客から出てくるアイデアも直接店造りに活かすなどを実行しています。

駐車場のカート置き場には鉢植えが掛けられ、入り口のゴミ箱も紙とプラスチック用もあり各々用の木製の樽が並んでいました。

「Welcome to Our Farm」、農場へようこそいらっしゃい!

店舗の入り口は、トラクターで来る地元農家さんの専用駐車場です。

ローズの特徴はキャロライナのローカル(地元)に拘っている事です。 店内のあちこちでキャロライナ感が見られます。

店内に入るとアメリカ南部地方の店舗らしく天井には沢山のスカイライトを付けて明るくし、店頭のフローリストとカラフルな野菜と果物の売り場でカラーコーディネートされ、華やかな色と良い匂いでそれを引き立てています。 入り口付近から始まるフレッシュの売り場は基本の配列が斜めで、その一部分の角度を故意に変えてある事で変化に富んだ売り場を感じさせてくれます。

フレッシュ売り場の商品やパック詰めされた商品は丁寧に手が掛けられており見た目にも大変アトラクティブに見えます。

店内で使う什器や家具もカントリーや農場を思い起こさせる木を使ったデザインと色使いを多用しています。

入り口にはグリンハウスを思い浮かべる様なデザインのフローリスト、そしてカットフルーツのパック詰めとフルーツと野菜が入ったボトルウォーター売り場です。

フローリストとカットフルーツの右側、後ろに広がるのがフレッシュのコーナーで色使いと共にファームに行った雰囲気がある什器が使われます。

商品の展示には相当に手を掛けて非常に丁寧にしている事が分かります。

りんごとオレンジ類の売り場は平台で、棚の下にはこれもカラフルなドライフルーツが並んでいます。

ディスプレイは花かごで、そこにミツバチ風船が飛んできます。  こんな広い平台って、南部都市の郊外で店内を広く使えるからこそ出来るのかも知れません。


ニューヨークではウェグマンズやグルメ店のシタレラの様に暗い店内の中でライティングを使って商品を明るく浮き上がらせる様な店造りをよく見ますが、このローズやホ−ルフーズ、H-E-Bなど南部地方から始まったスーパーでは店内全て明るい傾向が分かります。

フレッシュの一角には「ピック&プレップ」のサービスカウンターがあり、野菜果物を買うお客の調理の手間を省く様にカットと下拵えを無料でしてくれます。

買い物の始まり部分にこれがある事で、残りの買い物中にそれをしてもらえる様にしているとの事です。

サービスカウンターの横には、沢山の色とりどりの野菜と果物が既にカットされ丁寧に詰められて売られています。


南部方面のスーパーマーケットの一部ではフレッシュ商品にあまり力を入れていないケースが見られ、野菜も冷凍商品、缶詰・瓶詰めが充実しているケース、そして何と言ってもミートとその調理(BBQソースなど)は大変充実している状況が見られます。  それを極端に言うと、肉食人間が多いという事かも知れません。

しかしこのローズでは全くそういう事を感じません。


フレッシュの次に並ぶのがチーズです。

大きなチーズコーナーではないですが、ここでは大量生産ではない工房製のチーズが扱われます。

チーズにつきものの半生のショートパスタや、フィグのスプレッドやクロスティーニなども揃っています。

又通常のチーズはデイリー(乳製品)コーナーでも沢山のパック詰めチーズが扱われています。

このチーズ売り場のデザインも確実に一クラス上のスーパーマーケットを感じさせるものでした。

チーズ売り場の隣はワインとビールのコーナーです。


惣菜とテイクアウトコーナーは小さいながらも専門店がコンパクトに入っています。

チキンの専門店 

ビアーバーとバリスタが居るカフェ

朝から焼きたてパンが買える


今アメリカでも大流行りのフライドチキンとロッティセリーチキンを中心に、惣菜テイクアウトやサンドイッチ他を作るチキン・キッチンや、店内でスモークを行うスモークハウスなど特に南部の人には人気のはずです。 それ以外にインストアベーカリーとケーキ屋さん、デリカテッセンとピザや寿司など揃っています。 ワインショップには生ビールや世界の地ビールを飲ませるビアー・デン(居間)とボックスカー・コーヒーカウンターが並びます。


各々店舗に名前が付いていて、これは鮮魚と生肉のコーナーでも同様に店の名前があります。

店内でスモークが出来るスモークハウス

毎日手作りするソーセージ店  

デリカテッセンとサンドイッチのサミー

       

スーパーマーケット内の店舗というイメージではなく、各専門店がこのマーケットに出ているかの様に各々の店舗に名前を付けるのもスタッフ会議から出たアイデアだそうです。

ノースキャロライナ州の南側にはサウスキャロライナ州があり、各々違った面を持っていますがお互いに意識しあってこちらの方が良いのだという議論があります。 我々はその議論には入りませんが、色々な文化面でも深いものがあり、特に食文化には興味深いものがあります。

共に南部食文化圏でBBQやフライドチキンがその代表であることから、両州に店舗展開するローズではその両方の商品に定評があります。 

南部地方でもこのエリアのBBQは特にポークが中心になっている事が有名と理解しております。

BBQ用の肉はもちろんの事、用品も揃っています。

ローズはローカルに拘っていると先に書きました。

地元のお客を優先にするという事で、チェーン展開80店舗のほとんどが両キャロライナ州の中にあります。

上の地図はアメリカ全体のほぼ右側半分でその右側の水色は大西洋です。 緑マークがローズの店舗立地ですが、完全なドミナントで1店舗だけノースキャロライナ州の州境の北側でバージニア州側に立地という店舗があります。

この緑は先のパイプラインのほぼ真ん中でというのもお分かりになると思います。


おそらく日本にも出回っていると思うのですが、バーツビーズ(Burt’s Bees)というノースキャロライナ州の会社が出している化粧品やリップは本社がこのすぐ近くなので、特別コーナーが出来ていました。

それ以外にもキャロライナ産を集めたBBQソースやスナック菓子のコーナー、ソーダドリンクのコーナーなどが作られています。

昨今のコロナによって全世界的に買い物の仕方が変わってきた事は確実で、特にスーパーマーケットでは従来の店内での買い物に加え、アプリを使ったショッピングで、デリバリーにするかお客自身がピックアップするか、という選択が出てきています。 その最先端は先に述べたアマゾンでしょう。

ここローズでは業界のその動きに先立って、2013年に(スタッフ会議で)まさにそのデリバリーとピックアップを提案し開始しておりました。

ここではピックアップが効率的に行われており、専用の作業場あって車寄せ「Lowes To-Go」が作られていてそこにオーダー積み込み用のドアが作られています。

後付けではない最初からその様に設計されて作られているという事です。

全米最大のスーパーマーケットKroger は、ピックアップ専門の店舗を出しています。

店内にあるトイレは衛生問題もあり通常はドアが付きますが、ここではドア無しで入れ内部で迂回の壁が付いている事でドアが不要です。

当然ですが使用後の水のフラッシュや手洗い、ハンドドライヤーが付く事でそこを出るまでノータッチです。

  

ノースキャロライナ名物のBBQはこんな料理です。


このローズがあるラーリー市はキャロライナの中では比較的北側にあたります。

未だにコロナによる制限があり、この店では広い駐車場に大きなテーブルがゆったりと7〜8台並べられ安心して食事する事が出来ました。

写真でいうと左側のグシャッとしたのがBBQポーク(プルドポーク)、真ん中がブリスケッ(細長い)、そしてソーセージでしたが、肉好きの筆者としてはちょっとスモークが足らないな。 付け合せはポテトサラダとコールスローという南部料理の定番を頂きました。


すでにブログでお伝えしましたが、スーパーマーケットの横や裏に建物を増設して、そこにロボットが入ったマイクロ配送センターを付けるというスーパーが実用、展開しています。

コネチカット州の例をブログに⇦(ニューヨークは今、5月03日(Big Y))載せました。

写真の青い部分が増設でその中がロボット式小型配送設備です。


アマゾンフレッシュはロサンジェルス郊外に加えてシカゴ郊外で展開中ですが、新たに首都ワシントンの店舗も開店しました。

情報では近日中にワシントン市内と周辺に数店舗開店の予定です。

ニューヨークの出店予定はお伝えしましたが、それ以外にもミネアポリスやシアトルなどで開店するはずで、現在開発中が37店舗というニュースも入っております。

ワクチン接種が大きく進んでいる事で私達の安心感がグッと上がってきており、アメリカ側は間も無く再開準備完了です。 

下城NYニュースではアメリカのスーパーマーケットと小売業の情報発信として、オンラインのウェブセミナーを行っております。 

ニューヨーク周辺のスーパーマーケットは勿論、全米評価でトップとランクされるアマゾンやH-E-B、ウェグマンズやホールフーズと並んでパブリックスを含むワシントン商圏のマーケットや、ボストン、シカゴという小売業の先端店舗がある地域のマーケットと比較したセミナー内容をお作りしています。

通常のニューヨーク視察であれば2都市は可能ですがそれ以上は非常に時間が掛かりなかなか足を伸ばせません。 コロナ騒動が続いておりますので、皆さんが現地へ行けない分、私が足を伸ばして情報を収集し、下城NYニュースでも取り上げている非常に優秀なテキサス州のH-E-B等もご紹介致します。

是非この視察研修プログラムで最新情報をキャッチして、アメリカの優良企業を目の当たりに接し、体験する事で、愛社精神と人間力を培って、この業界をリードするトップになって頂ける事、又、参加されるスタッフさんの感動を引出す事は間違いありません。

ご興味のある方は下城までご連絡下さい。                                                           

チャーリー下城NYC■ 05/27/2021

https://ny-news.amebaownd.com/


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