下城NYニュース、07-'23(Hy-Vee大型化する地方スーパー)
ニューヨークから離れてアメリカ内陸部の地方スーパー(SM)をお伝えします。
なかなか行く事も聞く事もないと思いますが、大都市シカゴの更に北側、ウィスコンシン州からです。
食品スーパーの多くは、広い意味の地方や地域であるリージョナル(日本でいう関東地方など)で展開するか、もっと狭い地域のローカル(各県など)で展開するかという場合がほとんど、全米どこに行ってもありますというSMは少ないのです。
全米展開する食品店チェーンのホールフーズやトレーダージョーズは、通常の食品店ではない要素を持ったチェーンでなので特殊な例と言えます。
又、ウォルマートやターゲットの様に生活必需品から始まって食品を加えたジェネラル・マーチャンダイズのストア(=略してGMS)は、食品も扱いますが食品スーパーとは切り離して考えており、全米展開しているケースが多く見られます。
以前のウェグマンズの記事ではスモールフォーマットと呼び小型化している店舗の事を書きましたが、今回お伝えするHy-Vee(ハイヴィー)の様に地方でドミナントするスーパーでは大型化しています。
ハイヴィーはアイオワ州という更に知られていないと思える州に本部があり、このリージョンで約300店舗展開する最有力のスーパーマーケットチェーンです。
この店舗大型化は広い売り場で広い扱い品目とする事で、GMSと競合する意味合いも含んでいます。
その反対に、GMS側でも扱い品目を変えて商品構成し、本来SMが得意とする調理惣菜や同一商品の中でのサイズやフレーバーなどを含む品揃えの豊富さに競合してきています。
SMとしては価格だけでの競合では敵わないウォルマートに対し、細かい品揃えや店内調理の惣菜などの品質で対抗し、店のブランド力を高め接客を向上する事で、PB商品を抵抗なく買って貰える戦略をとります。
店舗入り口では大きく「mealtime」のサインを付けたコーナーがあります。
私で言うと、自身はニューヨーク市直近の郊外に住んでいますので市内にもすぐ行けるし、住宅地の人口も非常に多いのでほぼ全ての小売業チェーンやブランドの商品を売る店があり、SMでもピンからキリまで無数にあるので選び放題です。
お店も選び放題で買い物する商品も選び放題、
ナショナルブランド品は勿論、ローカルブランドを積極的に扱うホールフーズやウェグマンズ、PB商品が充実したトレーダージョーズもアルディもリドルも、リージョナルチェーンのショップライトもアジアン食品店も車ですぐです。
都市を控えた郊外はそうでも、今回のハイヴィーの様な地方でははそうはいきません。 まずお店の選択肢が限られてきて、自分の好きな店で何でも揃うという店があればラッキーです。
何と言っても選択の余地が少なく、無い中でもウォルマートがあるのが唯一の助けという地域もアメリカには沢山あります。
多くのアメリカの家庭では、週に一度か2週に一度のスーパーの買い物で、一気に沢山まとめ買いします。
アメリカのまとめ買いとは、来週食べる、必要なものを想定して買うという日本と比較しちゃいけないのです。
在庫の洗剤10本、アルミラップ5個、ツナ缶30個、冷凍丸ごとチキン10個、オレンジ等のジュース10個、コカコーラ等のソーダ色々10ダーズ等々を日々使っていき、在庫が無くなる前に次のバッチ(洗剤10本、、、、)を買い足す事を意味しています。
アメリカ発のコスコーが日本でああいう商品の売り方をする本当の意味が分かると思います。
アメリカには約600店舗のコスコーが全米に散らばっていて、その相乗効果があるわけで、30店か50店しか出店出来ない日本の商圏とは桁が違います。
コスコーのメンバー数は1億人を超えています。
アメリカ人旦那+子供3人という私の日本人の友人宅では、2週に一度程ウォルマートかハイヴィーでのまとめ買いをしてウォルマートの時はこんな感じです。 (そこにコスコーがあったら、この買い物の形が変わるはずです)
一度の買い物は$1000を超え、$1500になる事もあります。(コロナ後のインフレでさらに20−30%アップしてるか?)
食品に関係ないですが、アメリカで5人家族の健康保険料は月額$2000-4000です。 安い保険は患者負担が大きくなり、病気も出来ません。
月給が100万円無いと生活出来ないってのがお分かりになると思います。
地方のSMでは、如何にしてウォルマートではなく自分の店に来て貰う様にするのか、手を替え品を替え店作りをして、又、商品構成とスタッフ教育をしています。
その行き着く先に必要になってくるのは、店舗の大型化、売り場面積を広げる事になっていくのです。
今月はアメリカ内陸部のウィスコンシン州をお伝えしていますが、全米全体を見ると地方ではこぞって大型化していて、以前にもお伝えした南部テキサス州のH-E-Bや同じく南部のシュナック、中西部オハイオ州に本部がありアメリカ最大のSMチェーンであるクローガーも同様です。
ウィスコンシン州とはあまり知られていない州ですが、酪農が有名でチーズ(乳製品全般)の産地であり牧畜も盛んでソーセージなど、そしてビールの産地としても有名です。
ドイツ系や東欧系の移民も多く、沢山の種類のソーセージがありります。 沢山あり過ぎて調理法がよく分からない、でもほとんどは焼いても茹でても、スープに入れても美味しい様。
チーズはそのままでも調理しても食べ、現地ウィスコンシンの名物料理はチーズカード(チーズの最初の段階)のナゲット状のものをフライにしたもの等、非常に美味しく頂きました。
これがカードでやはり色んな種類があります。
バターも豊富で、一部ヨーロッパ移民のアーミッシュも多く住んでいる様で彼らの手作りバターも多く見られます。
一言で肉、ベーコンといえども種類が多い。
ウィスコンシン州の代表的な街ミルウォーキーはご存知の通りビールの街ですから。
私は地方へ行った場合は出来るだけローカルのお店へ行き、現地のものを試したいので、その日の晩ご飯はこんな風に始まります。
ビールとチーズカードのフライ、パンには手作りバターをたっぷり塗って、
しかしそれで終わらずにあとお見せはしないですが、BBQコンボでお腹いっぱいです。
店内の惣菜コーナーの充実は勿論、店内飲食の充実、田舎では都市部の様な気楽に一杯飲む場所としてもこのハイヴィーを使って欲しく充実させている事がよくわかります。
暖炉があってその奥にはフルのバーを付けました。 一杯飲んで食事して、買い物して車を運転して帰るって事になります。
このChopHouse でお肉と食材と手作りソースを買って、裏庭BBQをやりましょうという提案が出来ています。
各売り場の通路の中間にも冷蔵ショーケースを入れ衝動買いを誘います。
価格はGMSに対抗できる様な商品を、目立つ場所でセールかけます。
買った精肉鮮魚などは、このグリルでにて無料で味付けし焼いたり蒸したりしてくれます。
ハイヴィーの店内を見ると、我が街ニューヨークのSMよりも先を行く様な沢山の店作りや商品が見られます。
又、多くの小売業でコロナ対策を施し、コロナが終わった今後もそれが継続するものがあります。
お客が使うカートを消毒しなければいけなかったコロナ初期には、全米初でゲートを通すだけで消毒出来るという「カート専用消毒器」を採用したチェーンでした。(現在はカートの消毒も不要になっています)
冷蔵・冷凍食品の売り場ではモーションセンサーを付けてお客が居ない時はLEDの照明を消して電気の節約をします。
店内には50台以上のモニターを設置、曜日や天候に合わせて内容を即座に調整出来ます。
確かに売り場店員の数は非常に少なく運営が出来る手段です。
コロナ以降一気に増えたデリバリーとピックアップ用の商品プレップも、どんどん改良されて素早いプレップの為のソフトが出ています。
又、セルフレジもその一つで、コロナ前には4−6台(2列+係員一人)のセルフレジがよく見られましたが、昨今では10台20台と並ぶ店が見られ中には通常のレジ同様にベルトも付いて商品点数無制限でセルフというのも見られます。
実は今アメリカのSMで大きな問題になっているのは万引きや盗難で、一部は組織的な盗難が起きていて売上の中の大きなロスになっています。
その対策がどんどん進み、それ専用のカメラを設置しハイテクのレジ機が使われソフトウエアが使われています。
あまり知られていませんが、実際には店内カメラが盗難現場を映し出し画像を発見した時にはもうそのお客が居ない事が多いものの、チェーンではその顔認証をブラックリストに乗せておき次の来店で(どの店舗へ行っても)入り口で把握して店舗のセキュリティーに知らせ、同時に店内カメラが行動の一部始終を撮影するなどのシステムが出来上がっています。
こうする事でそれ以降の万引きを絶滅させる手段を取るわけで、万引き被害額と共にそういう設備投資も莫大になっています。
店内での食品廃棄のロスや電気代の節約も重要ですが、日本でもこの万引き・盗難はもっと大きなロスになり得るので、注意と準備が必要です。
下城NYニュースではニューヨークと接続するフィラデルフィア、ワシントン、ボストンなどを組み込んだ研修や視察プログラムを用意しております。
昨年来次々と開店した首都ワシントンのウェグマンズ、デラウエア州のウェグマンズと立て続けに小型の店を開店し、コロナによる作戦変更の様子が見られます。
更には23年の早々にワシントンの南側郊外のバージニアでも小型店を開店し、明白に店作りに反映させているウェグマンズで目が離せません。
滞在期間や日程はご相談に応じます。
詳細は下城までお問い合わせ下さい。
By Charlie Chikao Shimojo @NPPA
チャーリー下城NYC■ 7/12/’23
https://ny-news.amebaownd.com/
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